最新記事

米中関係

ワシントン米中首脳会談、中国での報道

2016年4月3日(日)21時04分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

●米中新型大国関係:米中は世界の二つの最大規模の経済国家である。米中間には多少の食い違いがあるものの、それを遥かに超えた米中協力があり、それは両国と世界にとって非常に大きなことだ。米中両国は「衝突せず、対抗せず、相互に尊重しウィンウィンの協力」を実現すべきだ。

筆者注:ちなみに、米中核安全保障モデルセンター(COE)が今年3月18日から運用が開始されたことを、習主席訪米前から、中国メディアは盛んに報道するようになっていた。このセンターは、第1回核セキュリティサミットにおいて米中間で合意されたもので、中国に設立することが決まっていた。2011年1月、当時の胡錦濤国家主席が訪米した際、覚書に署名したものである。中国が土地を、アメリカ(主としてアルゴンヌ国立研究所)が技術を提供することが約束され、それを習主席「出訪Visit」に合わせて運用開始できるように計画したものでもある。中国側は中国国家原子力機関が技術提携をする。国際原子力機関(IAEA)の天野事務局長が、このセンターの存在を高く評価したという横顔も繰り返し報道された。オバマ政権退陣に伴い、核セキュリティサミットが今回で最後となり次は国際原子力機関が先導していくだろうことを睨んでの戦略だろう。中国は今後、アメリカに代わって主役を務めていくつもりだ。

●米中両軍関係:米中は絶え間なく両軍の相互信頼メカニズムの建設に尽力しており、昨年12月に米中両国の協力によって実施されたネット犯罪取り締まり行動は大きな成果をあげた。

●朝鮮半島問題:中国はつねに朝鮮半島の非核化に対して尽力しており、対話によって最終的な解決を望んできた。中国は関係各国が国連安保理制裁決議を厳格に守っていくことを強く望み、その他の時局を緊迫化させる、いかなる言動にも反対する。関係国(米韓を指す)は、その他の国家(中国を指す)の安全と利益や地域戦略のバランスを崩す、いかなる行動をも取るべきではない。

筆者注:これは韓国における米韓合同軍事演習を指し、韓国へのTHAAD配備の可能性を牽制した言葉である。習主席自身の言葉としてではなく、それを解説する論評においては頻繁に明示されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 9

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 10

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中