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ミャンマー

ロヒンギャ危機はジェノサイドだ

ミャンマーで狩られ逃げ惑う少数民族の犠牲は誰に責任があるのか

2015年7月7日(火)19時51分
パトリック・ウィン

迫害の末に 船でインドネシアに着いたロヒンギャ難民 Darren Whiteside-REUTERS

 国連のジェノサイド条約によると、ジェノサイド(集団殺害)というのは民族集団あるいは宗教団体を「破壊する意図」を持って、以下の行為のいずれかが行われる場合を指す。

■「殺害する」

 ミャンマー(ビルマ)のイスラム教徒であるロヒンギャは、仏教徒の自警団によって残忍な扱いを受け、故郷を追われてきた。ロヒンギャに対する虐待を監視している人権団体「フォーティファイ・ライツ」によると、当局はこうした迫害を阻止するための措置をほとんど何も取らず、時には扇動することさえあったという。

「家は焼かれ、モスクも焼かれた」と、同団体の創設者であるマシュー・スミスは語る。「住民が火を消そうとすると、国の治安部隊が発砲する有様だ」

■「深刻な肉体的・精神的危害を加える」

 グローバル・ポストの取材に応じたロヒンギャの男たちによると、警察も軍隊も腐敗しており、どんな理不尽も従うしかないという。強制労働を強いられ、家族を養うために働くこともできない。「餓死寸前だった」。そう語るのは、以前収容所にいたロヒンギャの男性だ。「警察や軍のためにずっとタダ働きをさせられてきた」

「いまこそジェノサイドについて語るべきときだ。状況は極めて深刻だ」と、スミスは言う。

■「集団全体あるいは一部が破滅するよう仕組まれた生活環境を意図的に強いる」

 暴徒によるロヒンギャの襲撃は組織的で、巧みに計画されている、とスミスは語る。

 ミャンマー政府は、ロヒンギャが生まれ故郷で生活する権利を認めていない。しかし、彼らを全滅させるという国策を持つわけでもない。証拠の大半から見えてくるのは、かつてラカイン民族発展党(RNDP)と呼ばれた仏教徒の政党が、2012年に最盛期を迎えていたロヒンギャ追放運動の中核をなしていたことだ。

 ロヒンギャは難民キャンプに追いやられた。ベンガル湾に逃げ込んだ250,000人は多くが、近隣諸国同士の残忍な「人身売買キャンプ」に捕まった。

■「子供を産ませない措置を取る」

 2人以上の子供を持つロヒンギャの女性は罰金を取られるか逮捕される。

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