最新記事

カンボジア

「血の弾圧」関与疑惑を韓国政府はぬぐい切れない

2014年1月31日(金)14時53分
ジェフリー・ケイン

 国際人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチによれば、ここ数カ月、工場労働者のデモ現場で武装したNCTC要員の姿が確認されていたという。

「法と秩序を維持するのは警察の役目だ。韓国政府は警察に相談すべきだった」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長代理であるフィル・ロバートソンは言う。「韓国政府がこの件をテロ問題と見なし、NCTCの関与を求めたことには正当性がないと、私たちは考えている」

 カンボジアの人権擁護団体アドホックの広報担当者、ニール・ルフリンも同意見だ。「抗議活動を行う権利は、この国の法律で認められている。たとえ抗議活動が暴力に発展したとしても、テロ対策機関が関わるべき問題だとは思えない」

 韓国外務省は筆者らの質問状に対し、一連の抗議デモがテロに関係あると考えているかという問いへの回答を拒否。抗議した市民に武力が用いられたことを非難するか、韓国大使館が工場の安全に関する懸念を表明した後にカンボジア政府が過剰な武力を用いないように何らかの策を講じたかという点に関しても、コメントを拒んでいる。

 カンボジア外務省の広報担当のコイ・クオンは筆者らに対し、ストに関して外務省もしくはNCTCに公式の書簡が届いたとは聞いていないと回答。NCTCのメンバーであるポル・チャンビラクはコメントを拒否、テロ対策特殊部隊を率いるフン・マネット(フン・セン首相の長男)には連絡が取れていない。

From GlobalPost.com特約

[2014年1月28日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日銀、25年度GDPを小幅上方修正の可能性 関税影

ビジネス

日経平均は大幅反発、初の4万9000円 政局不透明

ワールド

豪、中国軍機の照明弾投下に抗議 南シナ海哨戒中に「

ワールド

ゼレンスキー氏、パトリオット・システム25基購入契
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「実は避けるべき」一品とは?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心…
  • 7
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 8
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 9
    「中国は危険」から「中国かっこいい」へ──ベトナム…
  • 10
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 5
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 6
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 7
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 8
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 9
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 10
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中