最新記事

言論統制

中国が乗り出した中国版ツイッター規制

国家を傷つける内容で、しかもリツイート500人か閲覧5000件を超えると刑務所送り?

2013年9月11日(水)16時28分
ベンジャミン・カールソン

制裁か もう好き勝手はさせないというメッセージ? Barry Huang-Reuters

 中国で、ソーシャルメディア上での反政府発言への監視が一段と厳しくなった。

 中国の最高裁(最高人民法院)は9日、「国家を中傷したり国家について誤った情報」をアップし、500人以上のリツイートか、閲覧数が5000件を超えた場合は、最高3年の禁錮刑を受ける可能性があるというガイドラインを発表した。最高裁によれば、常習犯は政治的な権利が剥奪される可能性もある。

 ガイドラインでは、ライバル企業に関する噂を流して報酬を受け取る会社に対する罰則も規定している。深刻な違反者は、5年の禁錮刑になる可能性があると新華社通信は報じている。

 10日に発効された新しい罰則は、中国政府が役人の汚職を明らかにしたり、中国共産党の権威を損ねて放題のソーシャルメディアに対する支配を強化しようとする最新の試みだ。

 ここ数カ月、中国版ツイッターの微博(ウェイボー)で反政府コメントをする有名な批評家たちは、共産党の方針にきちんと従うよう警告されている。中国系アメリカ人作家のチャールズ・シュエは、ネット上で性を売り、噂を煽っているとして先月24日に逮捕された。

 一般の人たちにとって、何が「噂」に当たるのかは不透明なままだ。最高裁は、今回の規定が、善意の内部告発者を罰するためではないと強調している。

新たな混乱を生む

「疑惑や暴露の内容が誤った情報だったとしても、他人を貶めるための意図的なねつ造でない限りは......名誉毀損罪として起訴されることはない」と、最高裁の報道官は言う。

 ただ最近の2件の逮捕は、「誤った情報」があやふやになり得ることを示している。先月、微博の利用者2人が、雷鋒(ライホウ)についての噂をねつ造したとして逮捕された。雷鋒は、政府がプロパガンダに利用するための半分架空の兵士で人民解放軍の模範とされる。

 新規定は、中国政府に都合よく使われる可能性もある。中国専門家のビル・ビショップは、自身のニュースレターの中で次のように指摘する。「ソーシャルメディアの数字を裏で操作するのは簡単で、国民は何をアップするか非常に気をつける必要があるだろう。悪意があれば、すばやく簡単に、特定のメッセージや閲覧数を超えさせることができる」

「何が誤りで、何が名誉毀損で、国家的な利害を傷つけるのは何かということの定義は、所詮利用者が決めるものではない」

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

過度な為替変動に警戒、リスク監視が重要=加藤財務相

ワールド

アングル:ベトナムで対中感情が軟化、SNSの影響強

ビジネス

S&P、フランスを「Aプラス」に格下げ 財政再建遅

ワールド

中国により厳格な姿勢を、米財務長官がIMFと世銀に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 2
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口減少を補うか
  • 3
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過去最高水準に
  • 4
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 5
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「金の産出量」が多い国は?
  • 7
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 8
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 9
    ビーチを楽しむ観光客のもとにサメの大群...ショッキ…
  • 10
    【クイズ】世界で2番目に「リンゴの生産量」が多い国…
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 4
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 5
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 10
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中