最新記事

中国

「反中」台湾出身作家vs歌舞伎町案内人<3>

中国のオモテもウラも知り尽くした2人が語る中国という国の「あるべき姿」と中国民主化へのアプローチとは?

2013年4月25日(木)17時50分
構成、本誌・長岡義博

中国の未来について激論を戦わせる李小牧氏(右)と黄文雄氏(左)   

台湾出身で日本に半世紀近く暮らす作家の黄文雄氏と、本誌リレーコラム『Tokyo Eye』の執筆者で歌舞伎町案内人の李小牧氏という中国のオモテとウラを知りつくした2人の大激論2回目。今回は中国という国の「あるべき姿」と中国民主化へのアプローチについて、ディープな議論が展開する。(構成、本誌・長岡義博)

                   *

第2回目の記事はこちら >>

黄:今、日本が実効支配する尖閣で問題なのは、中国の出方です。中国の尖閣の領有権に関する原典を調べたが、嘘ばかりです。なぜ嘘までついて尖閣が欲しいかということが問題。

李:(前都知事の)石原慎太郎さんが突然買うと言い出して、それで(前首相の)野田(佳彦)さんがあせって国有化したのだと思いますが、中国人から見れば、「国有化」という言葉はいい気持ちがしませんよ。まして胡錦濤は退任の1カ月前だったから、完全にメンツをつぶされる形になった。歴史に自分が売国奴として名を残すことになったら大変なわけで、そういうことが分かっていたら、今の状況にはなっていないかもしれない。

黄:中国人には客観的に、相手の立場に立ってものごとを考えることができる人が少ないと思う。

李:私が言いたいのは中国中心ということではなく、あの国には13億人いるので、例えばバラバラになって日本に難民が来たらどうする、ということ。日本と台湾が協力してうまく民主化すれば、周りに迷惑がかからないでしょう? PM2・5とか川を流れる死んだブタなどの環境問題や人権問題は深刻ですが、隣の国として日本も支援する責任があると思います。

黄:13億人の人口の問題はね、中国人が自分で解決するしかない。

李:できないですよ! 共産党の独裁なのに、国民が自分で何とかできる訳がない。

黄:中国が問題なのなら、じゃあインドはどうなのですか? インドもやがて13億人を超えて15億人や16億人になると言われている。中国の人口は実際13億じゃない。17億とも言われています。中国の体制が今のまま続く限り解決は不可能ですね。中国にとって民意を問うシステムをつくることが大切だが、それは今の中国人にはつくれない。その理由は外国人がうんぬんするのでなく、中国人自身が考えないといけない。
 中国の研究者の間でも、薄煕来(編集部注:社会主義回帰路線を打ち出した元重慶市トップで、昨年身柄拘束された)のようなやり方も、民主活動家のようなやり方も評価されていません。

李:共産党に民主化せよ、と言っても彼らは聞かないでしょう。台湾の馬英九のように、経済協力を中心に仲良くやって行けばいい。大陸の旅行者が台湾に来ているし、逆に台湾の会社は中国に工場進出していますが、こうやって民主主義は少しずつ伝わって行く。「車が売れないから」といって日本が関係を断絶してしまうと、日本のいいところは伝わらないです。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英、国民保健サービスの医薬品支出20億ドル増額へ 

ビジネス

補正予算案が衆院通過、16日にも成立見通し 国民・

ワールド

アングル:日銀会合後の円相場、金利反応が焦点に 相

ワールド

焦点:高まる米金融政策の不透明感、インフレ・FRB
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 3
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎の物体」の姿にSNS震撼...驚くべき「正体」とは?
  • 4
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 5
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 8
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 9
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 10
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中