最新記事

中国

「反中」台湾出身作家vs歌舞伎町案内人<2>

中国のオモテもウラも知り尽くした2人が語る中国という国の「あるべき姿」と中国民主化へのアプローチとは?

2013年4月11日(木)12時50分
構成、本誌・長岡義博

李小牧氏(右)、黄文雄氏(左)   

台湾出身で日本に半世紀近く暮らす作家の黄文雄氏と、本誌リレーコラム『Tokyo Eye』の執筆者で歌舞伎町案内人の李小牧氏という中国のオモテとウラを知りつくした2人の大激論2回目。今回は中国という国の「あるべき姿」と中国民主化へのアプローチについて、ディープな議論が展開する。(構成、本誌・長岡義博)

                   *

第1回目の記事はこちら >>

黄:李さんに質問です。習近平が繰り返している「中国の夢」は富国強兵にほかならず、世界の考え方とはだいぶ違うと私は思うのですが。

李:私から見ると、中華圏のなかで台湾という国はこの60年間、日本やアメリカと付き合って民主主義を実現し、成功してきた。私は今こそ台湾が中華圏に貢献すべきだと思う。台湾だけ独立して中華圏を見捨てるのはだめ。団結して統一して、みんなで変わればいいんですよ。
 2000万人の台湾人が13億人の中国人に教えることは大事です。同じ中華系だから、日本人より教えやすい。台湾の今の総統は湖南省にルーツがある馬英九でしょう? 私は彼に会ったらこのことを言いますよ! 呼び方は「中華国」でも何でもいいから、新しい国をつくることが大事。台湾人の進んだ民主主義や文化、技術力のノウハウを大陸に教えればいい。分裂より統一の方がずっといい。日本人が入ったっていい(笑)。

黄:私の考えはちょっと違う。なぜ中国が「1つの民族」を強調するのか。中国には漢族だけでなくチベット人やモンゴル人、ウイグル人がいるが、それを中国人とひとくくりにするのはおかしい。
 これは中国に限りません。今、国連に加盟する国は193カ国あります。終戦当時は60ぐらいだったから3倍に増えたのですが、民族はもっと多い。中国は55の少数民族がいますが、ベトナムも50以上、ミャンマーは100以上ある。フィリピンやインドネシアはもっと多い。アジアで日本と韓国・北朝鮮だけが単一民族国家です。
 ただ、今の世界を見ると、国家がクリアできる問題はそう多くないです。ソ連のノーベル賞作家であるソルジェニーツィンが言いましたが、ソ連が崩壊したのは社会主義が民族と宗教の問題をクリアできなかったからです。
 では、中国はどのような国をつくるべきか。日本の基本的な文化は「和」。和というのは、併存・共存なんです。これに対して中国は「同化」。チベット人もウイグル人も中国人と同じように同化する、というのが基本的な考え方。人類の将来を考えると、民族が国家に変わって表に出て来なければ非常に問題の解決は難しい。地球規模で人類がどうあるべきか、というときに、中国中心に考えるのはおかしいです。

李:もちろんそう。ただ理想はあるが、目の前の現実問題をどう解決するかも大事。何世代かかって解決しない問題もある。100年後のことも考えるが、いま生きている人の生活も大事。戦争にならないように、「和」を実現するためには民主主義化を進めないといけない。
 私は今後この世界がどうなるか、という大きなことは考えていません。研究家じゃないので。ただ日本で体験した民主主義を中国に伝えることで貢献できると思っています。私はダライ・ラマでもラビアでも誰とでも会う。黄さんとも会う。黄さんと会うと中国大使館の人に言ったら、きっと止められるよ(笑)。それでも会う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ政権、民主5州の育児・家族支援凍結 100

ワールド

マクロスコープ:中国の対日禁輸、政府内に動揺 「企

ワールド

豪CPI、11月は前月比横ばい コア高水準続き利上

ワールド

中国、台湾独立派3人に制裁 親族の入境も禁止
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが「手紙配達」をやめた理由
  • 4
    「見ないで!」お風呂に閉じこもる姉妹...警告を無視…
  • 5
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 6
    「悪夢だ...」バリ島のホテルのトイレで「まさかの事…
  • 7
    若者の17%が就職できない?...中国の最新統計が示し…
  • 8
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 9
    砂漠化率77%...中国の「最新技術」はモンゴルの遊牧…
  • 10
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 5
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 6
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中