最新記事

医療

PTSD治療に幻覚剤エクスタシーが効果大?

心理療法と組み合わせることで長期的な効果も得られることが判明、患者の自殺防止にも期待がかかる

2012年12月4日(火)17時28分
アレクサンダー・ベサント

深すぎる傷 アフガニスタンやイラクでの経験がトラウマになる米兵は少なくない Peter Andrews-Reuters

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)を治療する「特効薬」として今、思いがけないものに期待が高まっている。幻覚剤エクスタシーとして知られるMDMA(メチレンデオキシメタアンフェタミン)だ。

 米サウスカロライナ州の研究者らが先月発表した研究によれば、MDMAを心理療法と組み合わせて活用することで効果が期待できることが分かった。CNNによると、PTSD患者を対象に行ったある小規模な研究では、19人中14人に何らかの効果が見られたという。

「MDMAを併用した心理療法を2〜3回受ければ、長期的な効果が期待できることを示す結果も出た。こうしたデータを踏まえ、もっと規模の大きい臨床試験を行うべきだ」と、同研究を行った精神科医マイケル・ミトホーファーは語っている。

 現在は、そもそもなぜMDMAが治療に効果的なのかを解明するため、退役軍人などPTSD患者24名を対象にした研究が進められている。

 米軍にとってPTSDは深刻な問題だ。イラクやアフガニスタンでの戦争でのトラウマ的な体験が原因で、任務終了後も精神的に苦しむ兵士は少なくない。同地域に派遣された経験のある退役軍人のうち、7人に1人はPTSDに苦しんでいるといわれ、米軍内での自殺率は過去30年で最高に達している。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

過度な為替変動に警戒、リスク監視が重要=加藤財務相

ワールド

アングル:ベトナムで対中感情が軟化、SNSの影響強

ビジネス

S&P、フランスを「Aプラス」に格下げ 財政再建遅

ワールド

中国により厳格な姿勢を、米財務長官がIMFと世銀に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 2
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口減少を補うか
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過…
  • 5
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「金の産出量」が多い国は?
  • 7
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 8
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 9
    男の子たちが「危ない遊び」を...シャワー中に外から…
  • 10
    ビーチを楽しむ観光客のもとにサメの大群...ショッキ…
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 4
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 5
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 6
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 10
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中