最新記事

中国経済

中国人が裸一貫から大富豪になる秘訣

スーパーリッチの8割はたたき上げ。だが合法的に築いた富だと信じる中国人はわずか5%しかいない

2011年5月18日(水)18時07分
パトリック・ウィン

買い手は誰? 親の財産を相続して大富豪になる中国人の割合はまだ意外と少ない CDIC-Reuters

 今の時代でも、勤勉さと資本主義的な起業家精神を発揮すれば、貧しさから抜け出して億万長者になれる可能性のある国がある。もちろん、中国のことだ。

 中国の長者番付を発表している雑誌「胡潤百富」によれば、同国に突如登場したスーパー富裕層のうち80%は、自力でその資産を築いた人々だという。10億元(約1億5400万ドル)以上の資産を保有する40歳未満の大金持ち56人を対象に調査を行ったところ、親族などから莫大な資産を相続した人はわずか12人だったという。

 さらに驚いたことに、現在中国で10億万元以上の資産を保有する人の数は1900人に上る。成功の秘訣? それは中国以外の大学で学ぶことだ。

 胡潤百富の調査では、対象者56人のうち半数は欧米の大学で学位を取得し、60%はビジネスを専攻していた。全体のうち15人はエンタテインメント業界やIT産業、14人は不動産業界、10人は製造業で成功をつかんだ。

 それ以外の人々は、業種もさまざま。米NBA(全米プロバスケットボール協会)のヒューストン・ロケッツで選手として活躍する姚明(ヤオ・ミン)もその1人だ。

 中国の人々は、こうしたスーパー富裕層の登場を自国の讃えるべき功績とみているのだろうか。実はそうでもない。

 国営メディアの新華社通信も、そのことを認めている。5月17日付けの記事(電子版)では、「経済や社会に貢献せずに金持ちになった人を冷笑するムードが再び高まっている」と指摘。その背景には、成功に汚職や賄賂はつきものだという不信感があるという。北京の中国人民大学が行った世論調査によると、富裕層の資産は合法的に築いたものだと回答した人はわずか5・3%だった。

 記事では、贅沢な家を次々と建てて住宅価格を吊り上げる開発業者に対する27歳の会計士の言葉が引用されている。「私たちの体から1滴残らず血を搾り出そうとする吸血鬼みたいだ」

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国、人民元バスケットのウエート調整 円に代わりウ

ワールド

台湾は31日も警戒態勢維持、中国大規模演習終了を発

ビジネス

中国、26年投資計画発表 420億ドル規模の「二大

ワールド

ロシアの対欧州ガス輸出、パイプライン経由は今年44
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中