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東南アジア

ビルマの「民主化」選挙はただの見せ掛け

2010年11月5日(金)15時25分
ジェリー・クオ

 世界で孤立を深めるビルマの軍事政権。11月7日に20年ぶりに実施される総選挙は、長く待ち望まれてきた民政への移管を記念するものになるはずだった。

 だが実際は、投票といっても形ばかりのもの。野党は事実上、選挙への参加を許されていないし、現政権に近い企業関係者を政権の要職に迎えるための政治ショーの様相が強い。

 このような演出された「改革」の波は経済界にも押し寄せている。軍事政権は今、1962年にクーデターによって政権を握って以来、最大規模の国有財産の「民営化」に着手しているところだ。数億ドル相当の庁舎や鉱山、通信設備、港湾施設、さらには国営の航空会社まで民間に売却し始めた。

 とはいえ、野党の候補者が立候補を許されていないのと同様、競争入札はなし。大半が将校らの親類や飲み仲間の手に渡っている。「民主化」をうたっていても、結局は見せ掛けにすぎないようだ。

[2010年11月10日号掲載]

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