最新記事

新興国

南ア黒人ミドルクラスは白人以上?

2010年6月7日(月)12時39分
ニコラス・ブルリアード(ヨハネスブルグ)

 南アフリカで、相当な数の黒人中間層が生まれている。アパルトヘイト(人種隔離政策)撤廃後の差別改善政策と、長らく続く経済成長のおかげだ。その規模についてはまだ議論の途中だが、今や白人層より黒人中間層のほうが購買力が高いという研究結果もある。

 これまでは南アの人口5000万人の10%を占める白人が、中間層を独占していた。しかし今では人口の79%を占める黒人が、よりよい教育と雇用の機会を得て高い職業的地位に就いている。

 94年に最初の民主選挙が実施されて以来、政府は黒人中間層の拡大を図ってきた。その政策の中核となったのが「黒人の経済的権利の向上(BEE)政策」であり、企業は黒人の経営者や経営幹部、管理職の数でランク付けされる。BEE上位の企業は、政府との契約や事業許可で優遇される。

 しかし南アフリカ人種関係研究所のシフォ・シーペ所長は、黒人中間層の影響力は誇張されている、と指摘する。シーペによると、黒人中間層は人種差別の是正政策と、アパルトヘイト撤廃に尽くした黒人活動家が政府要職に就いていることで成り立っている。つまり政府頼みであり、起業家が生まれていない。雇用創出に寄与していない点が黒人中間層の弱みだ。

GlobalPost.com特約)

[2010年6月 9日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国GDP、第2四半期は5.2%増に鈍化 底堅さも

ワールド

トランプ氏の「芝居じみた最後通告」 ロシアは気にせ

ビジネス

焦点:来たる米Tビル大量発行、今後1年半で1兆ドル

ワールド

アングル:米政権の財政運営「視界不良」、情報不足に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 2
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 3
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 4
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 5
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 6
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 7
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 8
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中