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ロシア

唯一の切り札は「ニェット」

2010年3月19日(金)13時18分
オーエン・マシューズ(モスクワ支局)

 ロシア政府のお気に入りの言葉は「ニェット(ノー)」。そう感じる米政府高官は多いはずだ。対イラン制裁からミサイル防衛まで、ロシアはアメリカが提起する問題にはすべて反対のようにみえる。

 目的はおそらくアメリカから最大限の譲歩を引き出すこと。アメリカのミサイル防衛計画にしぶとく反対しているのがいい例だ。

 アメリカは昨年、ロシアの反発に配慮して東欧へのミサイル防衛(MD)システム配備計画を中止。今年2月に、東欧に比べるとロシア国境からは遠い黒海に迎撃ミサイルを配備する代替案を発表した。

 これはロシア自身が1年前に提示していた策だ。それなのに彼らの答えはまたもや「ニェット」。この妥協案でさえ、アメリカが取り下げなければ新たな核軍縮条約には署名しないとごねている。

 ソ連時代に逆戻りしたようだ。ただし当時と違って、今のロシアの切り札は「ニェット」しかないようにもみえる。

[2010年3月24日号掲載]

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