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イラン革命防衛隊OBがチェンジを直訴

2月11日の革命記念日に反体制派との衝突も予想されるなか、体制側にも足並みの乱れが生じ始めた

2010年2月10日(水)17時07分
マジアル・バハリ(テヘラン支局)

イランは2月11日、王政を打倒したイスラム革命の31周年を迎えるが、多くの市民は反政府デモに繰り出すだろう。革命防衛隊はデモを厳しく取り締まる方針を明らかにしているが、あまりに不穏な空気が広がっているため、組織内に足並みの乱れも見られる。神権政治の熱烈な擁護者でもある革命防衛隊の関係者から、現体制の穏健化を求める動きが出てきたのだ。

 複数の高官によると、革命防衛隊の数多くの元司令官が、最高指導者ハメネイ師に従来の軌道修正を促している。元司令官のなかにはテヘラン市長や国会議長ら現職の有力政治家もいるという。

 彼らが望んでいるのは革命ではない。ハメネイが失脚すれば自分たちの地位もなくなる。彼らが求めているのは、革命防衛隊の権限を制限し、アハマディネジャド大統領の暴言に歯止めをかけることだ。一方で彼らは、反対派の指導者らとも会い、現体制を脅かさない形で反対意見を表明するよう促しているという。

 縄張り意識や個人的な野心もあり、元司令官たちの意見は割れている。ハメネイへの働き掛けでも歩調を合わせることができない。これではハメネイが耳を傾ける可能性はほとんどない。

 ただし、国王が側近の意見を無視した結果、79年の革命が起きたことも覚えておきたい。

[2010年2月17日号掲載]

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