最新記事

視点

世界を映すゴルフの国際政治学

2009年10月16日(金)14時31分
リチャード・ハース(米外交評議会会長)

 キューバでは複数のゴルフコースの開発が進められている。これはアメリカの経済制裁が解除されたときにアメリカ人観光客を呼び込むためとみられている。私のゴルフ理論が正しければ、キューバが今より開放的になってアメリカに友好的になるのは時間の問題だ。

 他の元共産主義国(または共産主義色が薄くなっている国)も、ゴルフコースの開発に力を入れている。例えば、中国では既に300以上のコースがオープンしている。その点、ロシアとウクライナにゴルフコースが少ないのが気掛かりだ。

カシミール地方に和平?

 ゴルフは政治・社会的安定のサインでもある。核保有国のインドとパキスタンの双方が領有権を主張するカシミール地方は、過去約20年間、世界で最も危険な地域の1つだった。それが今では美しい渓谷に5つのゴルフコースが点在する。平和は目前とまではいえなくても、事態は少しずついい方向に向かっているようだ。

 なぜゴルフは多くのプラスの傾向と関連しているのか。ゴルフコースが多いということは、伝統的に民主主義の基盤とされる中流層が台頭しているということだ。また一般市民がレジャーの時間を楽しめるだけでなく、基本的な安全を当然のものとして受け止める社会が存在することを意味する。

 米政府にとってこれは何を意味するのか。バラク・オバマ大統領は中東やアフガニスタン、パキスタン、イランに知名度の高い特使を送り込んできた。だがそれよりも、もっとゴルフに精を出すべきなのかもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=まちまち、米中対立嫌気 銀行株は好決

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、米中通商懸念が再燃

ビジネス

FRB議長、QT停止の可能性示唆 「数カ月以内」に

ビジネス

トランプ氏、中国との食用油取引打ち切り検討
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 5
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 6
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 7
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 8
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 10
    あなたは何型に当てはまる?「5つの睡眠タイプ」で記…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中