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中国が問われるリーダーの資格

2009年7月3日(金)15時00分
クリスチャン・カリル(東京支局長)

 多くの点で「ナンバーワン」という概念自体が時代遅れになりつつあるが、上下関係を重んじる儒教の伝統が根強いアジアでは、いまだにどの国が1番かにこだわると、一部の専門家は指摘する。

 だが、グローバル化は儒教の秩序を尊重してくれない。小国シンガポールは情報技術の分野で世界をリードし、大国である中国は、国際貿易とインターネットの影響で国内秩序を維持するのが難しくなっている。

 外交専門家の間には、中国と日本がアジアの強国として併存した時代は過去になく、中国の台頭は両国の紛争につながりかねないと指摘する声がある。中国海軍は既に日本の防衛網を試す行動に出ている。日本も両国が領有権を主張する尖閣諸島周辺で海上保安庁の警備体制を強化し、中国が東シナ海で開発中のガス田の上空で監視飛行を行っている。

覇権争いより協力が大切

 プリンストン大学の政治学者アーロン・フリードバーグは、現在のアジアを列強が覇権を争った19世紀のヨーロッパになぞらえる。だが、この比較は逆に、地域超大国には程遠い中国の現実を浮かび上がらせる。19世紀のヨーロッパでは、どの国も単独で覇権を確立することはできなかった。現代の中国も日本との小規模な紛争に勝てるかどうかは不透明だ。大規模な紛争になれば、中国はさらに不利になる。日本の唯一の同盟国であるアメリカが出てくるからだ。

 中国の国防費は2桁の伸びを続けているが、海軍力の要となる航空母艦の配備は早くても10年先だ。一方、米海軍は既に11隻の空母を保有している。

 もちろん、中国は軍事的・経済的覇権を求める意思はないと明言している。他の国々はその言葉を信用すべきなのかもしれない。

 実際、今や中国とアメリカは債権国と債務国、売り手と買い手として互いに不可分な関係にある。日本と中国も同様だ。中国は07年にアメリカを抜き、日本にとって最大の貿易相手国となった。

 とはいえ、周辺諸国は中国の攻勢に備える必要はないとまでは言えない。アジア地域の共同安全保障体制づくりは、国家間の経済格差やイデオロギーの違い、中国の反発に対する懸念から頓挫した。それでも、アジアの多極化を後押しする方法はいくつもある。

 オバマ政権も、アジアの多極化を支持しているようだ。今年2月にアジアを歴訪したヒラリー・クリントン国務長官は、まず日本、次にインドネシアを訪れて両国に協力を促した。3番目の訪問先は韓国で、中国は最後だった。

 クリントンは北京で、日中両国に環境問題での協力を呼び掛けた。地球温暖化は覇権争いではなく、協力が必要な国際問題だ。こうした共通の課題が増えれば、どの国が1番かに対するこだわりは薄れていくはずだ。       

[2009年5月27日号掲載]

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