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イラク世俗主義の復活は幻か

2009年6月8日(月)18時28分
ラリー・カプロウ(バグダッド支局長)

 フセイン政権が倒れた後、イラクが世俗国家になる夢はしぼんだ。イランの影響力が強まるなか、女性のスカーフは必須となり、酒店は閉鎖され、宗教的な政党や武装勢力は力を増した。

 だが最近は世俗主義復活の兆しもある。バーは営業を再開し、武装勢力は退却し、マリキ首相が率いるイスラム教シーア派のアッダワ党が宗教色を薄めているからだ。

 アッダワ党は1月の地方選挙で、バグダッドなど穏健派の多い都市ではシーア派色を前面に押し出さなかった。世俗政党は選挙で予想以上に健闘。リベラル派は、来年の議会選挙で過去に獲得した20%の議席を上回るのではと期待する。

 だが期待は外れるかもしれない。酒の販売拡大を認めたりイラクのナショナリズムを強調するマリキの姿勢は、無宗派政党の支持者を奪うための戦略かもしれないのだ。

 リベラル派の政治家アヤド・ジャマル・アディンは「私たちの資金も組織もメディアも弱体だ」と認める。マリキの戦略が成功したら、国内少数派の世俗派はますます弱い立場に置かれるだろう。

[2009年6月10日号掲載]

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