最新記事

米大統領選

出馬表明を渋りつつ、出る気満々のヒラリー

世論調査で圧倒的な人気を誇り、党内の有力者も自陣営に引き入れて準備は整いつつある

2015年1月30日(金)12時18分
ジャメル・ブイエ

決め手 民主党の指名を獲得するには、世論より党内の支持基盤を固めることが大事 Kevin Lamarque-Reuters

 米政界では16年の次期大統領選挙に向けた動きが活発化し、民主党と共和党の有力候補の名が次々に挙がっている。ところが民主党の本命、ヒラリー・クリントン前国務長官は依然として出馬を表明していない。

 それでも彼女は、予備選に向けて着々と布陣を固めている。夫ビル・クリントン元大統領の首席補佐官を務めたジョン・ポデスタやオバマ大統領の選挙参謀だったジョエル・ベネンソンらを次々に自陣営に引き入れているのだ。

 世論調査の結果を見れば、クリントンの出馬はほぼ確実だ。各種世論調査を集計して平均値を出す「ハフポスト・ポールスター」の最新結果によると、民主党の大統領候補にクリントンを推す人は62%。2番手につけたエリザベス・ウォーレン上院議員の支持率は12.3%にすぎない。現職のジョー・バイデン副大統領はさらに少なく9.6%だ。オバマを除けば、クリントンは今の民主党で最も人気のあるリーダーといえる。

 もっとも、世論は気まぐれなもの。魅力的な対抗馬が現れるなど状況が変われば、クリントンの支持率も一気に下がりかねない。

 しかし実のところ、予備選での勝利の決め手は世論ではなく、組織力だ。党内の支援体制を最も強固に固めた候補者が、ほぼ例外なく指名を獲得できる。

 08年の予備選で敗れた際には、クリントン陣営の支持基盤は強固とは言えなかった。党の有力者の中に反クリントン派がいて、もう1人の有力候補、オバマの支援に回ったからだ。

 今でも民主党内には反クリントン派がいるが、08年と違ってその影響力は低下している。有力な参謀を抜かりなく味方に付けたクリントン。民主党の集票マシンのかなりの部分を確保した今、出馬表明は時間の問題だろう。

© 2015, Slate

[2015年1月27日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、欧州諸国の「破壊的アプローチ」巡りEUに警

ビジネス

英製薬アストラゼネカ、米国への上場移転を検討=英紙

ワールド

米EV推進団体、税額控除維持を下院に要請 上院の法

ビジネス

マネタリーベース6月は前年比3.5%減、10カ月連
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    世紀の派手婚も、ベゾスにとっては普通の家庭がスニ…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    あり?なし? 夫の目の前で共演者と...スカーレット…
  • 9
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中