最新記事

テクノロジー

軍事ロボットはキュートに

軍の資金援助で研究開発が進んでいる「かわいい」生物型ロボットの可能性は

2014年8月29日(金)12時03分
シャノン・パラス(科学ジャーナリスト)

未来の仲間 生き物のようでつい応援したくなる小型ロボットRHex Kodlab/YouTube

 1年前、物理学者のダニエル・ゴールドマンからビデオが送られてきた。砂をかき分けて進む骨格だけの模型を撮影したもので、タイトルは「世界初のカメの赤ちゃんロボット」。

 ゴールドマンは、ジョージア・ウミガメセンターの協力でこのロボットを製作。目的は、ウミガメが前足を使って進むメカニズムを調べるためだった。

 もっともこの研究には別の目的がある。開発資金の一部を出したのは、米陸軍研究所のマイクロ自律システム・技術(MAST)連合。世界初のカメの赤ちゃんロボットの子孫は、米軍で活躍するかもしれない。

 MASTは08年以降、生物の動きを模倣した小型ロボットの開発研究に年間約700万ドルを投じている。例えばカリフォルニア大学バークレー校のロバート・フィアリング教授はその資金で、多足型の超小型ロボットを研究。尾を利用して急旋回できるテイルローチや、回転する3本の足で動き回る1STARなどがあり、大きさはどれも小さなネズミほどだ。

 ペンシルベニア大学のビジャイ・クマル教授は、動物の集団行動を軍事ロボットに応用するプロジェクトに取り組んでいる。

 軍隊が、愛らしいロボットに求める役割は何なのか。MASTのブレット・ピエカースキ局長によると、兵士の「仲間」だ。いずれは重さ100㌘ほどの手乗りサイズで、作業パンツのポケットに入れて持ち運びできるようになるだろう。

 これまでは、兵士の仲間といえば犬だった。彼らは負傷兵を見つけ、偵察して急襲を未然に防ぎ、臭いで爆弾を発見してくれる。もしもその犬が投げられたボールを取りに行きながら、別の命令も受けることができたら? 見つけたボールの写真も送ってくれるとしたら?

 もちろん未来の仲間は犬型ではなく、カメ、ヘビ、ゴキブリを合体させたような小型ロボットだろう(尻尾があるかもしれない)。生き物そっくりに砂や棒切れ、葉っぱ、石ころの間を上手に動き回る。その姿は間違いなくかわいい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:中国で婚姻数回復傾向続く、ドレス業界が期

ワールド

ウクライナ2都市にロシアが攻撃、和平協議直後

ビジネス

乳児ボツリヌス症の集団感染、バイハート社の粉ミルク

ワールド

北朝鮮抑止「韓国が主な責任」、米国防総省が関与縮小
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味を帯びる「超高齢化」による「中国社会崩壊」
  • 3
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投稿したアメリカを嘲笑する動画にネット爆笑
  • 4
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    サーモンとマグロは要注意...輸入魚に潜む「永遠の化…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    「これは違法レベル...」飛行機で「史上最悪のマナー…
  • 9
    トランプを支配する「サムライ・ニッポン」的価値観…
  • 10
    東京の火葬場6カ所が「中国系」...日本には「葬儀安…
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味を帯びる「超高齢化」による「中国社会崩壊」
  • 4
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 5
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 6
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 9
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の…
  • 10
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中