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ヒラリー「最強の国務長官」への舞台裏

タカ派的流儀でオバマ政権1期目を支えたクリントン国務長官の知られざる素顔と戦いの日々

2013年2月4日(月)13時40分
マイケル・ハーシュ(ワシントン支局)

似た者同士 「大統領も私も、根は現実主義者。実際に問題解決を図るタイプだ」とクリントン(左)は語っている Kevin Lamarque-Reuters

 犬猿の仲だった2人の刑事が、悪漢一味を追ううちに息の合ったコンビになる。まるでそんな刑事ドラマを見ているようだった。

 09年12月半ば、アメリカのバラク・オバマ大統領とヒラリー・クリントン国務長官はコペンハーゲンにいた。気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)に出席するためだ。温暖化防止の新たな取り決めを目指す会議だが、クリントンに言わせると「今にも空中分解しそう」だった。

 あれほど勝手な意見が飛び交う会議に出たのは中学校の生徒会以来だと、彼女は本誌に語った。

 土壇場で、オバマは中国と1対1の「ボス交渉」で落としどころを探ろうとした。しかし、中国側は時期尚早と拒否した。

 「ならば押し掛けるしかない」と言うオバマに、クリントンが応じた。「そうね。行きましょう」

 この瞬間、かつての仇敵同士が名コンビになった。「アメリカが誠意を見せなければ何も決まらないから、私が大統領を説得して(コペンハーゲン会議に)来てもらった。だから、なおさら責任を感じていた」と、クリントンは話す。

 2人は中国側関係者の制止を振り切って廊下を進み、会議室のドアを開けた。ドアの向こうにいたのは、温家宝首相以下、ブラジル、インド、南アフリカの首脳たち。温首相は温室効果ガス排出削減の検証基準作りを阻もうと、新興国グループと密談していたのだ。

 オバマとクリントンは、温首相らとにこやかに握手を交わした。厳しい交渉には紳士淑女の態度で臨むのが2人の流儀だ。オバマは着席して話を始めた。クリントンがその横から、必要な資料を次々と手渡す。

 とうとう中国側が折れ、どうにか合意らしきものがまとまった。もちろん、密談の場に踏み込んだことが効いただけではない。実は、クリントンはひと足早くコペンハーゲン入りした時点で、途上国を味方に付けるための手土産を配っていた。簡単に言えば「賄賂」だ。途上国の行う温暖化防止策に対し、先進国から年間1000億ドルの支援を2020年まで続けると約束したのだ。

 クリントン流の強引な政治手法とも言えるが、これが途上国の団結を崩したのは事実。 「あの2日間は最高に素晴らしかった」と、クリントンは温暖化問題担当スタッフに漏らしたという。ファーストレディーの時代も含め、18年も政界の荒波にもまれてきたクリントンがそう言うのだから、よほど感慨深かったのだろう。

オバマの周囲は「イエスマン」ばかりと批判

 大統領選後、オバマとクリントンのパートナーシップが軌道に乗るまでには時間がかかった。両者互角の予備選は史上屈指の激しい戦いとなり、互いの傷はオバマ政権発足の時点でも癒えていなかった。クリントンの側近は、オバマの取り巻きの冷たい視線に耐えなければならなかった。

 クリントンは、国務長官の職務内容をきちんと把握するまで低姿勢で通した(新しい仕事に就いたら、まず系統立てて根気よく、その仕事について勉強するのが彼女流だ)。それでも、こんなはずではないという思いもあった。

 オバマの入閣要請は、彼女にとっても魅力的なものだった。自分は金融危機後の経済立て直しで手いっぱいだから、あなたのような大物政治家に外交を任せたいと、オバマは言った。その言葉は、クリントンが自分の判断で外交を展開してよいとも解釈できた。しかし、ふたを開けてみると彼女はほとんど影響力を行使できなかった。

 クリントンはまだ政権の「身内ではなかった。それは確かだった」と側近の1人は言う。

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国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

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