最新記事

米軍

「ビンラディンの船」寄港に香港厳戒

ビンラディンを水葬にした米原子力空母の寄港で、報復テロへの警戒を強める地元警察

2011年5月24日(火)18時04分

ノーコメント 7000人の米兵が歓楽街を中心に上陸する(香港に寄港したカール・ビンソン) Siu Chiu-Reuters

 米原子力空母「カール・ビンソン」が香港に寄港した22日以降、香港警察は歓楽街などでの警戒を強めている。同艦は5月2日、国際テロ組織アルカイダの最高指導者ウサマ・ビンラディンの水葬を行った。それがイスラムの教えに反した行為だとイスラム教徒の反感を買っているからだ。

 カール・ビンソンと随行する支援艦は香港に4日間の日程で停泊。住民の間では報復テロへの懸念が高まっている。

 警察はランカイフォンやワンチャイなどの歓楽街を含む周辺地域で警備を強化した。これらの地域は、上陸する7000人の米海軍兵の多くが訪れるとみられていると、AFP通信は報じている。

 カール・ビンソンは香港ディズニーランドのあるランタオ島沿岸に停泊。25日に母港サンディエゴに向かう予定だ。

「怪しい人物や不審物が見つかれば、直ちに行動を取る。テロ攻撃を未然に防ぐため、細心の注意を払っている」と、香港警察の広報担当者はAFPに語った。現在のテロ警戒レベルは下から2番目の「並」になっていると、彼は言う。

海軍兵士には普通の儀式

 ジャーナリストたちは香港に滞在中の米海軍の兵士からビンラディン水葬についての情報を得ようと必死だが、兵士らにはかん口令が敷かれているという。

 同艦の機関兵ローレンス・メイヤーは、ビンラディン水葬のことは米CNNのニュースを見て初めて知ったと香港紙ザ・スタンダードに語っている。「驚いて口あんぐりだった。すごくショックだったよ」と彼は言った。

 艦上で記者会見を行ったサミュエル・ペレス司令官も水葬に関するコメントは拒否したが、香港滞在中の兵士の身の安全については懸念していないと話した。

「ここ香港でわれわれが取っている防護策は他の場所での寄港と全く変わらないレベルだ」とペレスは報道陣に語り、今回の停泊を「ごく通常の寄港」だとした。

 ペレスはカール・ビンソンが普段も水葬をとり行っていると話した。今回の派遣中にも数人の兵士が水葬されたという。「海軍兵士が海への水葬を望んだ場合、希望通りに実行される」とペレスは話している。

GlobalPost.com 特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏なら強制送還急拡大か、AI技術

ビジネス

アングル:ノンアル市場で「金メダル」、コロナビール

ビジネス

為替に関する既存のコミットメントを再確認=G20で

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型ハイテク株に買い戻し 利下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ暗殺未遂
特集:トランプ暗殺未遂
2024年7月30日号(7/23発売)

前アメリカ大統領をかすめた銃弾が11月の大統領選挙と次の世界秩序に与えた衝撃

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理由【勉強法】
  • 2
    BTS・BLACKPINK不在でK-POPは冬の時代へ? アルバム販売が失速、株価半落の大手事務所も
  • 3
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子どもの楽しい遊びアイデア5選
  • 4
    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…
  • 5
    地球上の点で発生したCO2が、束になり成長して気象に…
  • 6
    カマラ・ハリスがトランプにとって手ごわい敵である5…
  • 7
    トランプ再選で円高は進むか?
  • 8
    拡散中のハリス副大統領「ぎこちないスピーチ映像」…
  • 9
    中国の「オーバーツーリズム」は桁違い...「万里の長…
  • 10
    「轟く爆音」と立ち上る黒煙...ロシア大規模製油所に…
  • 1
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラニアにキス「避けられる」瞬間 直前には手を取り合う姿も
  • 2
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを入れてしまった母親の後悔 「息子は毎晩お風呂で...」
  • 3
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」、今も生きている可能性
  • 4
    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…
  • 5
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理…
  • 6
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子…
  • 7
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 8
    「失った戦車は3000台超」ロシアの戦車枯渇、旧ソ連…
  • 9
    「宇宙で最もひどい場所」はここ
  • 10
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 5
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラ…
  • 6
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 7
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 8
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中