最新記事

アメリカ政治

米選挙広告自由化でテレビ局「棚ぼた」

2010年2月8日(月)13時31分
小暮聡子(本誌記者)

 1月21日に米最高裁が企業や団体による選挙資金提供に対する制限を違憲としたことは、広告収入減に苦しむメディア業界にとって「儲けもの」だとする見方が広がりつつある。 

 企業や労働組合、非営利団体が選挙広告に今まで以上のカネをつぎ込むことは間違いない。判決によって10年の選挙広告費は2億5000万〜5億ドル上乗せされるとの証券会社による予測が報じられた。判決は投票日前の一定期間に選挙広告を出すことを禁止した先例も覆したため、今後は投票日直前の宣伝合戦が激化し、広告枠の単価が跳ね上がることも予想されている。

 今回の裁判のきっかけは、08年の大統領選でヒラリー・クリントン候補を中傷したドキュメンタリー映画に対し、連邦地裁が「保守系政治団体が製作費を拠出している」ことを理由に放映を差し止めたこと。最高裁判決は、合衆国憲法が保障する「言論の自由」は個人と同様に法人にも当てはまるとして差し止めを違憲とした。

 今後の選挙で石油大手や銀行、保険会社が自社の利益に合わない候補に無制限なネガティブキャンペーンを仕掛けることは間違いない。そして「棚ぼた」的にテレビ局が潤うことも。

[2010年2月10日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国GDP、第2四半期は5.2%増に鈍化 底堅さも

ワールド

トランプ氏の「芝居じみた最後通告」 ロシアは気にせ

ビジネス

焦点:来たる米Tビル大量発行、今後1年半で1兆ドル

ワールド

アングル:米政権の財政運営「視界不良」、情報不足に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 2
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 3
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 4
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 5
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 6
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 7
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 8
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中