最新記事

追悼マイケル・ジャクソン

マイケルの死とエルビス・プレスリー

マイケル・ジャクソンの元広報担当者が語るマイケルとエルビスの「早すぎる死」の裏にあるもの

2009年6月26日(金)18時51分

エルビスの影 マイケルはエルビス・プレスリーを尊敬していた Reuters

 ハリウッドでPR会社を経営するマイケル・レバインは93年、マイケル・ジャクソンが少年への性的虐待容疑で起訴された裁判で広報担当を務めた。本誌サラ・ボールがジャクソンの死についてレバインに聞いた。

──訃報を受けて今の心境は?

 大きな悲しみを感じている。ただ驚きを感じなかったことに、自分自身驚いている。午後2時45分ごろ、オフィスでアシスタントと昼食をとっていたときに電話で知らせを受けた。でも驚きはしなかった。

 考えてみると、彼(ジャクソン)はエルビス(・プレスリー)に似ている......彼は42歳でこの世を去ったエルビスを心より尊敬していた。そして今、彼が50歳で逝った。(この類似点を)見過ごすべきではないと思う。

──どうして驚かなかったのか。

 驚かなかったという以外にどう答えればいいか分からないな。私は(ジャクソンに)初めて児童性的虐待の疑惑がもちあがったときに代理人を務めた。(精神分析で有名な)ジークムント・フロイトでなくても、反復強迫や自己破壊の傾向があったことは分かる。自己破壊の傾向は強くなっていた。

 私は何百という有名人の広報を務めてきたが、自己破壊にはDNAのようなものが関係しているのではないか。それは、ただ単に生きている人ではなく、自分の思い通りに人生を送ると固く決意した人たちが持っている要素だ。でも考えてみて欲しい。石を空中に投げて重力なんか存在しないと言い張っても、石は絶対に落ちてくる。重力にあなたの信念なんか通用しないのだ。

――ジャクソン家の広報担当者やほかの情報筋は、処方箋薬物の乱用、ひどい食生活、トレーニング過多などについて語っている。どれが自己破壊の原因だと考えるか。

 いずれもなり得るだろう。

――ジャクソンの広報担当を務めたきっかけは?

 当時、私たちの周辺で起きたこの種のスキャンダルとしては最も大きく、国際的に見てもあれほど注目を浴びた騒動は初めてだった。まだいわゆる「新しいメディア」の初期の段階で、すべてが今日存在するものの序曲のようなものだった。当時、世界一有名なスターの、世界最大のニュースだった。私も若く、矢面に立っていた。誰も準備ができていなかったと思う。

――検視で死因に薬物が関係しているという結果が出たら驚くか。

 いや、何も驚かない。ただこの死の根幹にあるのものを理解するには、解剖結果よりシェイクスピアを読んだほうがよく分かるだろう。彼の自己破壊はシェイクスピアの作品のようだ。

 ジャクソン家のスポークスマンが、家族は何もできなかったと話していた。私はお金の問題じゃないと思う。エルビスはなんで死んだのか? どんな薬物がエルビスを死に至らしめたのか。 狂気がエルビスを殺したのか? そこにはさまざまな側面がある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米証取とSEC、上場企業の情報開示規則の緩和で協議

ワールド

アングル:イスラエルのネタニヤフ首相、イラン攻撃「

ワールド

米国務長官、ロシア追加制裁に慎重姿勢 「交渉の余地

ワールド

イラン議会、IAEAとの協力停止法案承認 査察など
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 3
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係・仕事で後悔しないために
  • 4
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 5
    都議選千代田区選挙区を制した「ユーチューバー」佐…
  • 6
    細道しか歩かない...10歳ダックスの「こだわり散歩」…
  • 7
    「子どもが花嫁にされそうに...」ディズニーランド・…
  • 8
    人口世界一のインドに迫る少子高齢化の波、学校閉鎖…
  • 9
    「温暖化だけじゃない」 スイス・ブラッテン村を破壊し…
  • 10
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 8
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 9
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 10
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中