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追悼マイケル・ジャクソン裁判スリラー、緊迫の最終章へ
14週に及んだ注目の裁判の最終弁論がついに終了。性的虐待はあったのか、マイケル・ジャクソンの運命は12人の陪審員にゆだねられた
体調不良? ボディガードに支えられて裁判所に到着(05年3月10日) Kimberly White-Reuters
マイケル・ジャクソンは、本当に少年に性的虐待をしたのか。その判断がもうじき下される。6月3日、カリフォルニア州サンタマリア地裁で最終弁論が終了し、陪審団が審議を始めた。有罪とみなされれば、かつてのスーパースターはしばらくの間、刑務所で暮らすことになるかもしれない。
「ジャクソンの人生、将来、名声と自由はみなさんの手中にある」と、ジャクソン側のトーマス・メゼロー弁護士は12人の陪審員に訴えた。有罪評決はジャクソンを「打ちのめすかもしれない」ともつけ加えた。
メゼローは一貫して、この件は原告の少年と家族のでっちあげだと言い続けてきた。3日の最終意見陳述でも「少しでも疑いをもつのなら、無罪にしなければならない」と陪審団に語り、少年と母親は金目当ての詐欺師だと主張した。「ジャクソンを有罪にすれば、家族は億万長者になる」
最長20年の禁固刑になる可能性も
メゼローは、弁論を30分ほどのビデオで締めくくった。ジャクソンが少年時代のつらい思い出や子供への愛情を語ったビデオだったという。
続いて、ロン・ゾーネン検事が最後の反証をした。以前の論告求刑でゾーネンは、当時13歳だった少年がジャクソンの自宅「ネバーランド」の寝室でポルノ映像を見せられ、性的暴行を受けたという原告の言葉は「すべて事実で、信じなければならない」と訴え、「ジャクソンは責任を取るべきだ」と主張した。
ゾーネンは反証で、ジャクソンを「欲求や衝動を抑えることができない」男と呼び、自分の子供が少年と同じ目にあったらどう思うかと、陪審団に問いかけた。
さらに、03年6月に少年がジャクソンに性的暴行を受けたと警察に証言する映像を再び提示。「これは、一人の男によって辱められた少年が語った紛れもない事実だ」とゾーネンは言い、少年は「演技の才能がある」と主張する被告側に反論した。
2本のビデオは、14週間に及んだ法廷での争いをドラマチックに締めくくった。この2本は「有力な証拠になる」と、長年検察官と弁護士を務めた法務コンサルタントのマイケル・ガードーザは言う。「法廷の空気は明白だった」
裁判所に詰めかけた1200人もの報道陣と、熱狂的なファンの前に、ジャクソンは青白くげっそりとした姿で現れた。その前の晩、地元の病院で脱水症の治療を受けていたらしく、母親や親族に支えられながら出廷した。
ジャクソンには10件の容疑がかけられている。原告の少年と家族を誘拐しようとした共謀容疑が1件、少年への性的虐待の疑いが4件、虐待未遂容疑が1件と、未成年者への飲酒強要の容疑が4件だ。すべてが有罪なら、最長20年もの禁固刑を受ける可能性がある。
少年と家族の話は本当なのか
法的な証拠がほとんどないこの裁判は、どちらの言い分を信じるかが焦点になる。「すべては、少年と家族の証言の信憑性次第だ」と、CBSニュースのアナリスト、アンドルー・コーエン弁護士は言う。「最終的には陪審団が決めなくてはならない」
ジャクソンは法廷を去るときもノーコメントで通した。このところ体調が悪そうなジャクソンだが、彼の広報担当者のレイモーン・ベインに言わせれば、本人は「身体的には健康」らしい。
とはいえ、裁判の結果には相当神経質になっているようだ。評決を待つ間、ジャクソンはどう過ごすのかと記者団に問われたベインは、「彼はじっとしていられないだろう」と言った。「彼は家族とくつろぐつもりだ。あなた方のなかに、彼と同じ立場に立ちたいと思う人はいないでしょう」
[2005年6月15日号掲載]