1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
Superbugs Could Kill Millions by 2050. A 100-Year-Old Treatment Could Help
イスラエルの獣医師たちは、猫の脚の傷口に対して、ファージを組み合わせたオーダーメイドの混合液を直接塗布し、すでに効力を失っていた抗生物質と併用した。
数週間以内に感染が収束し、手術部位も回復。動物に対するパーソナライズド・ファージ療法の実例としては、これが初めての報告となった。
抗生物質はおよそ1世紀にわたって細菌との戦いの切り札とされてきたが、細菌は次第にその効力に対して耐性を強めている。
抗生物質の使用量は2016年以降、21%以上増加している。国際研究プロジェクト「GRAM(薬剤耐性に関する世界研究プロジェクト)」が医学誌『ランセット(The Lancet)』に発表した最新の研究では、抗生物質、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬への耐性を含む薬剤耐性によって、毎年100万人以上が死亡していることが明らかになった。
ファージ療法は、欧米の多くの国ではいまだに実験段階と見なされているが、ジョージアやポーランドなどでは数十年前から実用化されてきた。
今回のような研究成果は、この分野に新たな勢いをもたらし、ファージが将来的に、難治性の感染症に対して抗生物質に取って替わる、あるいは並び立つ治療法となる可能性を示している。
References
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