最新記事
宇宙

【動画あり】火星に古代生命が存在していた!? NASAが火星の岩石に「生命の痕跡」を発見

NASA Reveals New Evidence for Ancient Life on Mars

2025年9月13日(土)08時00分
ゲイブ・ウィズナント

NASAの予算削減が調査の足枷に

生命の痕跡を示す可能性があるサンプルは2023年夏に採取されたもので、粘土を多く含む頁岩で構成される、ジェゼロ・クレーターに水を供給していた「ネレトバ・バリス」という古代の河川跡から得られた。

「ブライト・エンジェル層」と呼ばれるこの場所は、掘削前にパーサビアランスの各種機器で綿密に調査されていた。


ヒューロウィッツらはその岩石内に「ケシの種」や「ヒョウの斑点」と呼ばれる微細な斑点を発見、それらがリン酸鉄や硫化鉄を豊富に含んでいることを確認した。地球では、こうした化合物は有機物を消費する微生物の働きによって形成されることが多い。

この研究成果は科学誌『ネイチャー』に掲載され、有機炭素(生命の基本的構成要素)の存在も報告されている(ただし、これらのサンプルが地球の研究所で精査されるまでは、その意義について断定することはできない)。

先月、NASAの科学者らは、退役した着陸探査機インサイトのデータを用いて、火星の内部に大規模な地質構造を発見した。それは40億年以上前の惑星衝突の名残とされる岩塊が地殻深くに埋もれているものだ。

NASAは当初、パーサビアランスのサンプルを2030年代初頭までに地球へ持ち帰る計画を立てていた。しかし現在、そのスケジュールは2040年代へとずれ込み、費用も110億ドルに膨らんでいる。すでに10本のサンプルチューブが火星表面に予備として配置されているものの、回収ミッションの詳細は未定のままだ。

科学者たちは当面、地球上の類似環境で試験を継続する予定だ。たとえば南極の湖に生息する微生物が硫酸塩鉱物とどのように相互作用するかなどが調査対象となる。

SETI研究所のビショップとパレンテは次のように述べた。

「現在の火星に微生物が存在する証拠はない。しかし、もし太古の火星に存在していたのであれば、ジェゼロ・クレーターの湖で硫酸塩鉱物を還元して硫化物を形成していた可能性がある」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=ダウ反落、FRB議長「12月利下げ確

ビジネス

マイクロソフト7─9月売上高、クラウド好調で予想超

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、FRB議長発言で12月利下

ビジネス

米メタ、第3四半期に160億ドルの一時費用計上 大
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    コレがなければ「進次郎が首相」?...高市早苗を総理に押し上げた「2つの要因」、流れを変えたカーク「参政党演説」
  • 3
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」にSNS震撼、誰もが恐れる「その正体」とは?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【クイズ】開館が近づく「大エジプト博物館」...総工…
  • 6
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 7
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 8
    リチウムイオンバッテリー火災で国家クラウドが炎上─…
  • 9
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 10
    怒れるトランプが息の根を止めようとしている、プー…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 9
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 10
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中