最新記事
野生生物

実は別種だった...ユカタンで見つかった「新種ワニ」が常識を覆す

Biologists Reveal Two New Crocodile Species: 'Totally Unexpected'

2025年5月12日(月)16時40分
メリッサ・フルール・アフシャー
DNAが語った衝撃の事実...ユカタンで発見された「見過ごされていたワニ」の正体(写真はイメージです) Shelly Collins-Unsplash

DNAが語った衝撃の事実...ユカタンで発見された「見過ごされていたワニ」の正体(写真はイメージです) Shelly Collins-Unsplash

<メキシコ・ユカタン半島沖で、科学者たちがアメリカワニとは遺伝的に異なる2種類の新種を発見。想定外の発見は、既存の分類の見直しを迫る結果となった>

メキシコのユカタン半島で、新種のワニが2種類見つかった。科学者たちはこの「まったくの予想外」の発見を受け、アメリカワニに関する長年の想定を再考するよう迫られている。また、判明した新種2つの個体群は、環境や気候変動の影響を受けやすい状態にあるとして警鐘を鳴らしている。

「ワニは、大半の種がすでに絶滅の危機に瀕している。そして、急ピッチで進む海岸線の開発は、ほとんどの個体群にとっての脅威となっている」。論文著者で、カナダ・マギル大学の生物学教授ハンス・ラーソン氏は声明でそう述べた。「この研究の目的はそもそも、ユカタン半島の沖に点在する離島に生息する多様なワニの種を正確に把握することだった」

ラーソン氏率いるマギル大学の研究チームは、メキシコの研究者たちと協力し、ユカタン半島沖に浮かぶコスメル島と、アメリカワニの繁殖地として知られる生物圏保護区のサンゴ環礁バンコチンチョロで、ワニの新種を特定した。

これらの一帯で孤立して暮らすワニたちは、一般的なアメリカワニの地域個体群だというのが長年の定説で、その生息域は、バハカリフォルニア半島からベネズエラ、カリブ海全域に及ぶ。

研究チームは、DNA配列の解読と身体的特徴の比較を行った結果、コスメル島とバンコチンチョロに生息しているワニは、単なる地理的変異ではなく、遺伝的に異なる種だという結論に至った。

「この結果はまったくの予想外だった」。声明でそう述べたのは、論文の筆頭著者で、大学院生時代にはラーソンの研究室に所属していたホセ・アビラ=セルバンテス氏だ。

「アメリカワニは、バハカリフォルニア半島からベネズエラ、カリブ海全域に生息する単一の種だと、私たちは思い込んでいた。今回の研究は、これらのワニのゲノム変異と解剖学的変異を広範囲に調査したものとしては初めてのものだ」

編集部よりお知らせ
ニューズウィーク日本版「SDGsアワード2025」
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

伊GDP、第2四半期は前期比-0.1% 予想外のマ

ビジネス

ユーロ圏GDP、第2四半期速報は前期比+0.1% 

ワールド

カムチャツカ沖で巨大地震、M8.8で1952年以来

ワールド

中国政治局会議、経済支援へ 無秩序な競争取り締まり
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い」国はどこ?
  • 3
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突っ込むウクライナ無人機の「正確無比」な攻撃シーン
  • 4
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 5
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 6
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    タイ・カンボジア国境紛争の根本原因...そもそもの発…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「出生率が高い国」はどこ?
  • 10
    グランドキャニオンを焼いた山火事...待望の大雨のあ…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 8
    レタスの葉に「密集した無数の球体」が...「いつもの…
  • 9
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 10
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中