最新記事
サイエンス

睡眠不足の子供は20代前半で「心の病気」になる確率が高い(研究)

Bad Sleep and Psychosis Risk

2024年6月6日(木)16時30分
リディア・スミス
寝ている子供

就寝・起床時間を決めて、夜更かしをさせないなど親にできることは多い ADENE SANCHEZーE+/GETTY IMAGES

<幼少期の慢性的な睡眠不足で免疫系が暴走し、20代前半で精神疾患を発症する確率が高まることが英豪研究チームにより明らかになった>

幼少期の慢性的な睡眠不足と20代前半における精神疾患の発症には関連があることを示す分析結果が発表された。

米国医師会報(JAMA)の精神科専門誌に5月に掲載された英バーミンガム大学と豪メルボルン大学の共同研究チームの論文によれば、幼少期に長期にわたり睡眠不足が続くと、20代前半で精神疾患を発症する確率が2倍以上も高まると考えられる。

なぜか。答えの1つとして、チームは炎症反応の異常を挙げる。

大人と同様、子供もなかなか寝付けなかったり、よく眠れなかったりすることはあり、それ自体は全く問題ないと、論文の筆頭執筆者であるバーミンガム大学心理学コースのイザベル・モラレスムニョス助教は報道発表で述べている。「ただし(専門家の)助けが必要な場合もあり、それを見極めることが重要だ」

研究チームはイギリスで行われた有名な大規模調査「エイボン縦断的親子研究」のデータを分析した。1991~92年に旧エイボン郡で生まれた1万2394人の子供の睡眠時間のデータと、その子たちのうちの3962人が24歳になった時点での「精神病症状体験」(PE)などメンタルヘルスのデータだ。

幻覚や妄想などのPEは統合失調症、双極性障害、重度の鬱病の症状として現れることもあるが、PEがあったからといって、これらの疾患にかかっているとは限らない。

睡眠習慣は親が対処可能

データを分析した結果、生後6カ月から7歳までの間に慢性的な睡眠不足だった人は24歳までに精神疾患にかかる確率が2倍以上高く、PEがある確率に至っては4倍近く高いことが分かった。

幼少期の慢性的な睡眠不足と成人早期における精神疾患の発症に関連があることは確かにせよ、この2つを結び付ける要因ははっきりしない。

睡眠不足が免疫機能の異常を招くことは分かっている。また、精神疾患の患者に慢性的な炎症が多く見られることも報告されている。

そこでチームは幼少期の睡眠不足と20代前半におけるメンタルの不調を結び付ける要因の1つとして炎症反応に着目。エイボン研究参加者が9歳の時に採取され、冷凍保存されていた血液サンプルの炎症マーカーを調べた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

従来の貿易システム「失われた」 WTO事務局長、改

ワールド

ECB総裁、原油供給混乱の長期化を警告 早期正常化

ワールド

イラン、スペインは「国際法順守」 ホルムズ海峡巡る

ワールド

欧州各国とカナダの防衛費、25年に20%増=NAT
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終回に世界中から批判殺到【ネタバレ注意】
  • 3
    「俺たちはただの人間だ」――BTSが新アルバム『ARIRANG』に託した想い、全14曲を【徹底分析】
  • 4
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「…
  • 5
    デンマーク王妃「帰郷」に沸騰...豪州訪問で浮かび上…
  • 6
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 7
    トランプが誤算? イラン攻撃延期の舞台裏、湾岸諸国…
  • 8
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 9
    「予想よりも酷い...」ドラマ版『ハリー・ポッター』…
  • 10
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 1
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 2
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 3
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラリアの「NVES規制」をトヨタが切り抜けられた理由
  • 4
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 5
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 6
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 9
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 10
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中