マクロスコープ:花見予算1割減、高まる「生活防衛意識」 中東緊迫化で桜冷え
写真は桜に触れる観光客の手。3月17日、都内で撮影。REUTERS/Issei Kato
Yusuke Ogawa
[東京 26日 ロイター] - 東京では桜の開花がピークを迎えつつある。今週末は多くの花見客でにぎわいそうだが、家計の負担は軽くない。中東危機に伴う原油高の影響で、消費者の生活防衛意識が高まっており、花見の平均予算額は前年を約1割下回る、との試算もある。個人消費の減速が実体経済を下押しする可能性が出ている。
気象情報サービスのウェザーニューズが3月上旬に実施した調査では、今年の花見予算は2730円と、2025年と比べて267円下落した。前年割れは21年以来、5年ぶり。調査会社インテージのアンケートでも、今年の予算は前年を1割超下回っており、「近場でひとり」で楽しむ予定の人が多いのだという。
博報堂生活総合研究所の内浜大輔・主席研究員は「例年3月は、新生活や新年度に向けて消費意欲が高まる月だが、足元の消費は物価高への警戒感から低調に推移している」と指摘。同総研の「消費意欲指数」によると、今年3月は過去5年の同月の中で最低値を記録した。
「花見コスト指数」を算出している第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは物価高が「春の行楽消費を冷やすような逆風になっている」との見方を示す。同指数は、花見の定番食品・飲料14種類の2月時点の価格を加重平均したもの。今年は前年比4.2%上昇しており、円安の進行などを背景に、20年を25.0%上回った。まんじゅうや炭酸飲料、おにぎり、ポテトチップスの上昇率は4割を超える。
今後はイラン紛争に伴う原油の供給不安が、食品価格全体を押し上げそうだ。「バイオ燃料」に活用できるサトウキビやトウモロコシは、食用の供給が絞られるとの懸念から、すでに先物価格がつり上がっている。また、農業に欠かせない窒素肥料は天然ガスを原料とするため、ホルムズ海峡封鎖によるエネルギー価格の上昇は、そのまま生産コストの増加につながる。
<中小企業の賃上げに逆風>
ガソリンや電気料金の高止まりも見込まれており、民間エコノミストは26年度の物価見通しを相次いで引き上げている。野村証券は、コアCPI(消費者物価指数)上昇率の予想を従来の1.9%から、2.6%に修正。ニッセイ基礎研究所は1.9%から、イラン攻撃後に2.1%に見直した。
総務省が今週発表した2月のコアCPIは、前年比1.6%上昇と、22年3月以来の2%割れとなったが、ニッセイ基礎研の斎藤太郎氏は「ガソリン価格の上昇が反映され、3月は再び2%台になるだろう」と述べる。
賃金面では、1月の実質賃金が13カ月ぶりに前年比プラスとなったものの、中東紛争が長期化した場合は「再びマイナスに転じ、消費の回復が途切れるリスクが高まる」(斎藤氏)。
今年の春闘の第1次集計では、大手企業で満額回答が続出し、賃上げ率の平均は5.26%と昨年に続き高水準となった。しかし、4-5月に本格化する中小企業の交渉は不透明感が強い。
エネルギー価格に加え、物流費なども上がっており、さらには「中国によるレアアースの輸出規制の強化は、在庫を自前で持てない中小の方が大手よりも苦しい」(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの清水孝太郎主席研究員)という。賃金と物価の好循環の行方が予断を許さない状況とあって、消費者は財布のひもを締め始めているようだ。
(小川悠介 編集:橋本浩)





