最新記事

ネット

20周年ウィキペディアは高評価、でも編集ボランティアは人手不足

YOU TOO CAN BE A WIKI EDITOR

2021年3月8日(月)13時00分
スティーブン・ハリソン

ウィキペディアにアクセスする端末の数は1カ月当たり15億に上る PHOTO ILLUSTRATION BY SLATE. PHOTOS BY RUTHBLACK/ISTOCKーGETTY IMAGES PLUS AND PIALHOVIK/ISTOCKーGETTY IMAGES PLUSーSLATE

<ネットサービスの中では特に評価が高いウィキペディアだが、ボランティアの人手不足が大きな課題に>

誰でも無料で使えるオンライン百科事典ウィキペディアは、この1月で20 周年を迎えた。記者会見で、共同創始者の1人ジミー・ウェールズはこう言った。「(ウィキペディアは)世間で思われてきたほどひどいものであったことはないが、いま思われているほどいいわけでもない」

確かにここのところ、メディアではウィキペディアを褒めたたえる記事が目立つ。例えばエコノミスト誌は「夢の成功例」と評した。「立派な大人に成長した」と言われたり、「インターネットに最後に残された最良の場所」とか偽情報や陰謀論と戦う「善良な警察官」の役目を果たしていると言われたりもしている。

人類の特筆すべき知識の全てを世界のあらゆる人に非営利で届けるという、ウィキペディアの使命は一般のネットユーザーからも高く評価されている。英語版だけで項目数は620万を超え、新型コロナウイルスの流行から芸能人の色恋沙汰までありとあらゆる情報を得ることができる。自分の時間を割いて項目を執筆したり、正確さを高めるための作業を行っているボランティアの人々に対しては、私も含め多くの人が畏敬の念を抱いている。

ウィキペディアにアクセスする端末の数は1カ月当たり15億に上る。ところが編集に携わっている人の数はそれに比べてぐっと少なく、1カ月当たり約28万人だ。米スタンフォード大学の学生でボランティアとしてウィキペディアの管理者を務めているケビン・リーに言わせれば、最大の課題は編集のマンパワーが減ってきていることだ。内容を最新のものに更新し続けるためには、もっと多くのボランティアが必要なのだ。

人手不足の理由の1つとして思い付くのは、編集作業の難しさだ。だが、技術的にハードルが高いということはなさそうだ。どの項目のページにも一番上の目立つ場所に編集画面へのリンクがあり、誰でも内容を付け加えることができる。書式設定などの使い勝手はワープロソフトと変わらず、プログラミングの知識も不要だ。SNSと違い、名前などの個人情報を登録する必要もない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ネタニヤフ氏、イランの「演習」把握 トランプ氏と協

ワールド

トランプ氏、グリーンランド特使にルイジアナ州知事を

ワールド

ロ、米のカリブ海での行動に懸念表明 ベネズエラ外相

ワールド

ベネズエラ原油輸出減速か、米のタンカー拿捕受け
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 5
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 6
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中