最新記事

インタビュー

医師500人が支えるオンライン病気事典「MEDLEY」の狙い

2017年8月24日(木)17時23分
WORKSIGHT

医師の善意を患者に届ける仕組みを横展開したい

メドレーの収益源は広告とデータ提供を考えています。広告ではバナーのほか、医師へのインタビュー記事が主ですね。MEDLEYの事典機能にプラスして、客観的な事実だけでは語りきれない医師の生の声も掲載するようなイメージです。どの医師も熱い話をしてくれるんですよ。自分はこういう治療で成果をあげてきた、こういう症状に悩む患者さんはぜひ頼ってほしいといった内容もあって、それもまた患者には価値のある情報だと思います。

ただ、お金をいただくからといって提灯持ちになるわけではなくて、インタビューも校正も社内の医師・医療従事者が行い、情報の信頼性を担保しています。

社内の医師には既定の給与を払っていますが、記事の監修などを手伝ってくれる外部の医師はボランティアに近い報酬で手伝ってくれています。そこでお金をもらっても仕方がないとみんな言うし、そもそもいい医者ほどお金では動きません。彼らの原動力になるのは「想い」なんです。

いってみれば医師の善意が回って患者に届いているようなもので、これは医療界の常識からすると奇跡的なこと。MEDLEYが頑張ってくれたら自分たちのためにも患者のためにもなると思わせることができ始めている状況がようやく生まれつつあるわけです。こういう善意の仕組みをMEDLEY以外でも構築できたらいいですね。

MEDLEYはまだまだ発展途上です。個人的にはやりたいことの5パーセントくらいしか達成できていない感覚。病気の情報以外にも、医師の情報をもっと充実させたいし、多言語展開もしたい。患者のアクションをサポートするようなサービスもできるようにしていきたい。

納得のいく医療を実現するために、やれることは無限にあります。例えば小中学校で医療という科目の授業を作るのも一案だと思います。それくらい医療と日々の生活が密接する世の中にしたい。一人でも多くの人が読んでよかったと思える、そんな情報に接する環境を、さらに多彩なチャネルで作っていきたいと思っています。

WEB限定コンテンツ
(2017.2.10 港区のメドレーオフィスにて取材)

text: Yoshie Kaneko
photo:Kazuhiro Shiraishi

※インタビュー後編:予約から診察・会計までワンストップのオンライン診療「CLINICS」

* 2014年発表の米キャンベル大学の調査による。

wsToyoda170824-site1.jpg株式会社メドレーではオンライン病気事典「MEDLEY」、オンライン診療アプリ「CLINICS」、医療介護の求人サイト「JobMedley」、介護施設の検索サイト「介護のほんね」の4事業を展開している。代表取締役社長は瀧口浩平氏、代表取締役医師は豊田剛一郎氏。2009年6月設立。社員数は151名。うち医師7名。(2017年2月現在)
http://www.medley.jp/

wsToyoda170824-site2.jpgMEDLEYのトップページ。
https://medley.life/


wsToyoda170824-portrait.jpg豊田剛一郎(とよだ・ごういちろう)
1984年生まれ。医師・米国医師。東京大学医学部卒業後、脳神経外科医として勤務。聖隷浜松病院での初期臨床研修、NTT東日本関東病院脳神経外科での研修を経て、米国のChildren's Hospital of Michiganに留学。米国での脳研究成果は国際的学術雑誌の表紙を飾る。日米での医師経験を通じて、日本の医療の将来に対する危機感を強く感じ、医療を変革するために臨床現場を離れることを決意。マッキンゼー・アンド・カンパニーにて主にヘルスケア業界の戦略コンサルティングに従事後、2015年2月より株式会社メドレーの代表取締役医師に就任。オンライン病気事典「MEDLEY」、オンライン診療アプリ「CLINICS」などの医療分野サービスの立ち上げを行う。

※当記事はWORKSIGHTの提供記事です
wslogo200.jpg


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB、政府閉鎖中も政策判断可能 代替データ活用=

ワールド

米政府閉鎖の影響「想定より深刻」、再開後は速やかに

ビジネス

英中銀の12月利下げを予想、主要金融機関 利下げな

ビジネス

FRB、利下げは慎重に進める必要 中立金利に接近=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 9
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 10
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中