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太陽光発電でつくる「ヒト」と「カネ」の新たな循環...生活クラブが庄内地域で描く「ローカルSDGs」の未来とは?

2025年11月13日(木)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
チビちゃん丸もち

「チビちゃん丸もち」生協がつくった太陽光発電から生まれた助成金により、庄内の丸もち食文化を守る工場が廃校校舎に新設された

<50年以上にわたり山形県庄内地域で「ローカルSDGs」を推進する生活クラブ。活動の中心にあるのは、2019年に設立した約7万枚のソーラーパネルによる発電施設だ>

日本企業のたとえ小さな取り組みであっても、メディアが広く伝えていけば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。そのような発信の場をつくることをミッションに、ニューズウィーク日本版が立ち上げた「SDGsアワード」は今年、3年目を迎えました。

私たちは今年も、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇


SDGsという枠組みが生まれるよりもずっと昔から、50年以上にわたって地域に根差した生産者との協力体制の構築を進め、安心できる食の国内生産を持続可能なものにする取り組みを行ってきた組織が日本にある。1965年から始まった「生活クラブ連合会」だ。

北海道から兵庫県まで約42万人の組合員を抱える同生協では、遺伝子組み換え品は取り扱わないなど、独自の基準で食の安心・安全を追求してきた。

その活動は、食料品の開発・供給だけにとどまらず、「豊かな地域づくり」にまで発展している。山形県北西部に位置する庄内地域でのプロジェクトも、そのひとつだ。

食の安全のその先へ。地域づくりを展開する生活クラブ

生活クラブが山形県遊佐町農協と連携し、米の生産を始めたのが1972年のこと。その後も、豚を1頭まるごと買い上げて、組合員同士で工夫しながら無駄を出さない消費に取り組んだり、「輸入飼料ではなく米を食べさせてはどうか」という交流会での提案をもとにブランド豚「米育ち豚」の展開を始めたりと、地域に結びついた活動を行ってきた。

2012年に入ると、生活クラブは遊佐町・JA庄内みどりと「地域農業と日本の食糧を守り、持続可能な社会と地域を発展させる共同宣言」を締結し、地域循環共生圏つまり今で言う「ローカルSDGs」の推進を加速させてきた。

さらに2019年には、30年ほど利用されていなかった広大な砕石工場跡地を利用して、約7万枚のソーラーパネルによる「庄内・遊佐太陽光発電所」を設立。ここで発電した電気は庄内で利用され、余剰電力も生活クラブの組合員が共同で購入する。収益は庄内の地域作りや環境保全に活用される仕組みだ。

2020年には、生活クラブが生活協同組合庄内親生会(現:生活クラブ生活協同組合庄内)、株式会社庄内自然エネルギー発電、酒田市、遊佐町と連携し、「庄内自然エネルギー発電基金」を設立し、発電所の売電収益を庄内の地域作りや環境保全に活用する仕組みを確立した。

同基金は、庄内地域で活動するさまざまな団体への助成を行っており、今年9月時点で助成先は27件、助成決定総額は約4500万円に達した。

一般公募枠で選ばれて助成を受けたワーカーズ・コレクティブ(※)「おらいーくらし」は、生活クラブ組合員の移住者と地元住民で構成される団体。遊佐町の米や酒田市にある「平田牧場」の豚肉など地元食材を使用した弁当事業を展開している。

(※)雇う、雇われるの関係ではない、新しい働き方。メンバー全員が出資し、全員で協同して働き、全員が運営に参加する方式を取っている。

庄内弁当

「庄内弁当」生活クラブ生協組合員である移住者と地元住民がつくる弁当には、地元の提携生産者がつくる安心安全な食材が使われている


移住者が庄内地域での農業ボランティア活動で出会った、品質には問題がないが廃棄されてしまう規格外野菜を弁当に使うことでフードロス削減に貢献。ときには米農家が弁当の配達を行うなど、移住者と地元住民が手を取り合い、知恵と経験を活かしながら活動している。同団体では助成金を家賃に充てることで事業を円滑にスタートすることができたという。

また、遊佐町は地元の「丸もち文化(※)」を守るために助成金を申請。生活クラブの提携生産者の出資参画による新たな餅加工会社・株式会社鳥海風土が設立され、助成金を使って工場を新設した。

(※)東日本では角餅が一般的だが、庄内地域は丸もちが食される。江戸時代の北前船交易の名残だと言われている。

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