最新記事
SDGs

「なぜサステナビリティが必要なのか」を語れる力を育てる...和田 恵さんが学生に贈るSDGsキャリア成功の秘訣

2025年2月20日(木)11時00分
酒井理恵
蟹江研究室の卒業生で現在はサステナビリティコンサルタントを務める和田 恵さん

蟹江研究室の卒業生で現在はサステナビリティコンサルタントを務める和田 恵さん


慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究修士課程修了後、大手シンクタンクに就職。その後、コンサルタントとして企業のサステナビリティ実装支援に携わる一方、NPOの理事や自治体の有識者委員を務める和田 恵さん。SDGsを研究する蟹江憲史教授の研究室で知見を深め、意思決定の場に「若者の声」を届け続ける彼女は、どんな社会を創ろうとしているのか。持続可能な未来を探る次世代の「ホンネ」に迫る。

──SDGsに興味を持ったきっかけを教えてください。

環境問題には幼少期から親しんでおり、中学・高校時代はこども国連環境会議推進協会(JUNEC)が主催するワークショップに通っていました。それまで企業は利益追求のためだけに活動しているものと思っていましたが、CSR(企業の社会的責任)に先進的な企業があると知り、興味を持ちました。

また、大学時代に第二外国語でアラビア語を専攻していたことから、中東に何度か足を運んだことがあります。特に印象に残っているのが、イスラエルにある死海の水位が年々低下しており、消滅の危機にあることです。主な原因は、農業用水確保のため、ヨルダン川からの流入が減っていること。日本にいると気づかない、「人間が地球環境を変えてしまっていること」を強く実感しました。

こうした経験から、慶應義塾大学 蟹江憲史教授のゼミに入ってSDGsを学ぶことを決めました。

──蟹江教授は、SDGsの採択以前から研究に取り組んできた第一人者です。和田さんたちは蟹江ゼミの一期生だそうですね。

ゼミが発足した2015年4月当時、SDGsは全く浸透しておらず、「これから世の中は大きく変わる」という先生の言葉も半信半疑で聞いていました。自分たちにとって遥か遠い国連の社会貢献に関する目標を、日本にいる企業や自治体が積極的に国内で取り組むのは難しいと思っていたためです。

しかし、同年9月の国連サミットでSDGsが採択され、徐々に企業や自治体が取り組み始めると、ゼミのメンバーも次第に「これはすごいことなのかもしれない」と気付き始めました。日本でも数十人しかSDGsを認識していなかった時代から、社会に浸透するまでを眺めてこられたことは、非常に貴重な経験だったと思います。

SDGsという言葉が登場するまで、多文化共生、環境、平和などさまざまな問題を1つのスキームで語れることはなかったように思います。「実現すれば、本当に社会は変わるかもしれない」と、期待に胸を膨らませたことを覚えています。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中