最新記事
SDGsパートナー

「エシカル印刷」へ 地元を巻き込み発展する、近藤印刷の「地域共創×循環経済」の実践

2025年1月10日(金)13時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

その一例が、中川運河地域の企業や行政、学生を巻き込んだサステナビリティ学習事業「中川運河みんなの学校」。もともと「中川運河学習室」という名称で2021年に始まった取り組みが、今年に入ってさらに進化したものだ。

中川運河学習室では、サステナブル(持続可能)な開発・発展を学ぶために秋田県五城目町への視察旅行を行ったり、多数の企業が参加するワークショップを開催するなどの活動を実施してきた。そうしたなかで、秋田県五城目町の「五城目みんなの学校」に倣い、より活動を広げていくという思いをこめて現在の名前に改名した。

すでに中川運河みんなの学校では、中川運河の魅力を可視化した「中川運河のおさんぽマップ」を作成するなどの活動を行っている。

newsweekjp20250108101535-e091f2de1ae1efaaef30766e1cfca442a2b5942e.jpg

「中川運河のおさんぽマップ」では、地域で人気のグルメや観光スポット、歴史的な名所を巡ることができるようになっている

また、中川運河みんなの学校のほか、中川運河の文化保全及び地域交流の場として「中川運河しおりのアトリエ」や、地域の工場などから出る廃材を地域の社会課題解決メッセージを載せた製品に生まれ変わらせるアップサイクルサービス「&ondo」も提供している。

newsweekjp20250108101840-f7b6826391f1d21970fafe2028c5769057cf9bcf.pngnewsweekjp20250108101904-363886419465791965a3a5d58f5ef5cae65ab44c.png

製品加工をした際に出る端材や廃材を活用したアップサイクルによるオリジナルのノベルティ・グッズの制作に取り組む

「&ondo」のプロジェクトの一環として、地元の板金加工会社と共同で製作したのが、金属加工時に出る端材を活用したペーパーウエイトだ。地元を流れる「中川運河」をイメージした色彩を施し、「中川運河おそうじ大作戦」の際に参加者への記念品として配布した。ペーパーウエイトには、水の色、空の色、外壁の色、護岸の色など、計12種類の色名がつけられている。

また、別の金属加工会社と共同で端材のステンレス板を再加工し、鉄製の定規を製作した。会社の近隣にある小幡緑地の湿地に生息する絶滅危惧種をモチーフとしており、展示会などでノベルティとして配布した。「&ondo」のプロジェクトは、徐々にその活動の幅を広げている。

「育ててもらった町に恩返しするような気持ちでスタートしましたが、始めてみると、『地域のサステナブル』という共通項が、地域の外へと連れ出してくれ、国内外の多くの人たちと出会うこともできました」と、近藤氏は話す。

こうした同社の取り組みは、SBT認証(パリ協定と整合性のある温室効果ガス排出削減目標を立てていることを示す国際認証)などの各種認証の取得や、愛知県SDGs登録制度「あいちSDGsパートナーズ」への登録、名古屋市SDGs推進プラットフォーム会員などへと繋がっており、持続可能な経営の推進企業として外部からも高い評価を得ている。

近藤印刷の新たな挑戦は、脱プラスチック化の中で迎えた危機をチャンスへと変えるものであった。ポジティブで柔軟性のある未来思考の企業が起こした名古屋の印刷業界における一つの変革は、環境対応への事業転換を迫られている各国の老舗企業や地域共創への取り組みに共通した気づきを与えるものとなるだろう。

ニューズウィーク日本版 健康長寿の筋トレ入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月2日号(8月26日発売)は「健康長寿の筋トレ入門」特集。なかやまきんに君直伝レッスン/1日5分のエキセントリック運動

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

新発10年債利回りが1.625%に上昇、2008年

ワールド

李大統領は「偽善者」と北朝鮮メディア、米国での非核

ワールド

イランが英仏独と核協議、制裁復活迫る中

ワールド

米、耐食鋼で反ダンピング関税 豪ブラジルなど10カ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 3
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪悪感も中毒も断ち切る「2つの習慣」
  • 4
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    「美しく、恐ろしい...」アメリカを襲った大型ハリケ…
  • 7
    「ありがとう」は、なぜ便利な日本語なのか?...「言…
  • 8
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    【クイズ】1位はアメリカ...稼働中の「原子力発電所…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家のプールを占拠する「巨大な黒いシルエット」にネット戦慄
  • 4
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 5
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 6
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 7
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 8
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 9
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 10
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中