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「エシカル印刷」へ 地元を巻き込み発展する、近藤印刷の「地域共創×循環経済」の実践

2025年1月10日(金)13時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

その一例が、中川運河地域の企業や行政、学生を巻き込んだサステナビリティ学習事業「中川運河みんなの学校」。もともと「中川運河学習室」という名称で2021年に始まった取り組みが、今年に入ってさらに進化したものだ。

中川運河学習室では、サステナブル(持続可能)な開発・発展を学ぶために秋田県五城目町への視察旅行を行ったり、多数の企業が参加するワークショップを開催するなどの活動を実施してきた。そうしたなかで、秋田県五城目町の「五城目みんなの学校」に倣い、より活動を広げていくという思いをこめて現在の名前に改名した。

すでに中川運河みんなの学校では、中川運河の魅力を可視化した「中川運河のおさんぽマップ」を作成するなどの活動を行っている。

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「中川運河のおさんぽマップ」では、地域で人気のグルメや観光スポット、歴史的な名所を巡ることができるようになっている

また、中川運河みんなの学校のほか、中川運河の文化保全及び地域交流の場として「中川運河しおりのアトリエ」や、地域の工場などから出る廃材を地域の社会課題解決メッセージを載せた製品に生まれ変わらせるアップサイクルサービス「&ondo」も提供している。

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製品加工をした際に出る端材や廃材を活用したアップサイクルによるオリジナルのノベルティ・グッズの制作に取り組む

「&ondo」のプロジェクトの一環として、地元の板金加工会社と共同で製作したのが、金属加工時に出る端材を活用したペーパーウエイトだ。地元を流れる「中川運河」をイメージした色彩を施し、「中川運河おそうじ大作戦」の際に参加者への記念品として配布した。ペーパーウエイトには、水の色、空の色、外壁の色、護岸の色など、計12種類の色名がつけられている。

また、別の金属加工会社と共同で端材のステンレス板を再加工し、鉄製の定規を製作した。会社の近隣にある小幡緑地の湿地に生息する絶滅危惧種をモチーフとしており、展示会などでノベルティとして配布した。「&ondo」のプロジェクトは、徐々にその活動の幅を広げている。

「育ててもらった町に恩返しするような気持ちでスタートしましたが、始めてみると、『地域のサステナブル』という共通項が、地域の外へと連れ出してくれ、国内外の多くの人たちと出会うこともできました」と、近藤氏は話す。

こうした同社の取り組みは、SBT認証(パリ協定と整合性のある温室効果ガス排出削減目標を立てていることを示す国際認証)などの各種認証の取得や、愛知県SDGs登録制度「あいちSDGsパートナーズ」への登録、名古屋市SDGs推進プラットフォーム会員などへと繋がっており、持続可能な経営の推進企業として外部からも高い評価を得ている。

近藤印刷の新たな挑戦は、脱プラスチック化の中で迎えた危機をチャンスへと変えるものであった。ポジティブで柔軟性のある未来思考の企業が起こした名古屋の印刷業界における一つの変革は、環境対応への事業転換を迫られている各国の老舗企業や地域共創への取り組みに共通した気づきを与えるものとなるだろう。

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