最新記事
SDGsパートナー

人材難を「高度外国人材との二人三脚」で乗り越える...青木あすなろ建設の「海外技術者育成就労支援室」とは?

2024年12月26日(木)16時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

実際、海外技術者育成就労支援室の業務は多岐にわたる。海外での採⽤活動に始まり、⼊国手続きのサポートに日本に来てからの生活のサポート、現場配属後のケア。⽇本語や施⼯管理、安全に関する知識のほか、社内ルールや⽇本⽂化に対する理解を深めてもらうための教育も行っている。海外技術者が会社の一員としての意識を高めて働けるよう、新たな施策を立案・実行してもいる。

日々の施工管理業務に意欲的に取り組める環境が整った外国人技術者たちは、さらなる挑戦にも踏み出せる。土木施工管理技士資格やより高レベルな日本語検定試験にチャレンジする人もおり、合格者も出ているという。

newsweekjp20241225095514-0fb8bc6caa9939590e0a1b9bd5d3fd635f5f1d86.jpg

外国人技術者による社内プレゼンテーション

「彼らは優秀な⼈材とはいえ、⽂化の違いや専⾨⽤語の知識習得については苦労もあります。海外技術者に寄り添いながら、要望や困りごとを吸い上げ、スピーディーに対応しています」と侭⽥氏は言う。

自社の強みや弱みを見直す契機にも

少子高齢化による労働者不足が続く日本において、外国⼈労働者の重要性は高まっている。内閣府の年次経済財政報告によれば、23年10月末時点の外国人労働者数は約205万人と過去最高を更新した。青木あすなろ建設が海外技術者受け入れのために手を尽くす背景にも、人材不足に対する厳しい現状認識がある。「このままでは、現在の⽣産体制を維持することが困難な状況となりうるため、⾼度外国⼈材の採⽤に取り組み始めました」と侭⽥氏は言う。

だが外国人スタッフは単に人手不足の穴を埋めるだけではなく、もっとプラスの影響を会社にもたらしている。「海外技術者が⼊社してくれたおかげで、改めて今までの当社の強みや弱みが⾒え、今後10年先のあり⽅までを⾃然に考えらえるようになったと感じます」と、侭⽥氏は言う。

newsweekjp20241225095435-6c60f4dcb12ba296d87524b866566bfdc7147e7b.jpg

作業所で笑顔を向ける外国人技術者ら

「『外国⼈』としてではなく『仲間』として、海外技術者が⽇本⼈とともに働く⾵景がごく普通となることを⽬指し、引き続き彼らとともに働きやすい会社を⽬指してチャレンジしていきたいと思っています」

そんな同社の取り組みは、⼈⼿不⾜にあえぐ多くの⽇本企業にとって、そして多様性を認め合える社会づくりが課題のこの国にとって、ひとつの指針と言えるだろう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

過度な為替変動に警戒、リスク監視が重要=加藤財務相

ワールド

アングル:ベトナムで対中感情が軟化、SNSの影響強

ビジネス

S&P、フランスを「Aプラス」に格下げ 財政再建遅

ワールド

中国により厳格な姿勢を、米財務長官がIMFと世銀に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過去最高水準に
  • 4
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 5
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「リンゴの生産量」が多い国…
  • 7
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 10
    ビーチを楽しむ観光客のもとにサメの大群...ショッキ…
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 5
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中