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「誰もが安心して泊まれる」場所を目指して...医療的ケア児と家族の願いに応えるコスモスホテルマネジメント

2024年10月10日(木)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

旅行に対する心理的ハードルを取り除くために

この取り組みを主導してきたのは、法人営業部の早川三奈氏と経営企画室の明石真実氏だ。早川氏は、母親が重症心身障がい児の施設で働いていたことから、医療的ケア児が身近な存在だった。ある日、車いす利用者の宿泊客を迎えた際に、母親が働いていた施設の子どもたちのことを思い出し、受入体制を強化する取り組みができないかと、社内公募に応募。採択されたアイデアの実現に向け、明石氏と取り組みを行ったという。

その後の調査で、医療的ケア児の家族が、客室の定員制限や医療器具などの荷物の多さ、食事場所の選定といった課題により、旅行を諦めていることが多いことを知った。さらに、旅行の準備に多くの確認事項があり、そもそも計画自体に心理的ハードルがあることも分かった。

不動産会社の新規事業としてホテル運営を始めたMIMARUにとって、障がい者や医療的ケア児の受け入れは知識不足な分野でもあった。また、1施設だけなら対応ができても、ホテルチェーン全体で体制を整えるのは容易ではなく、海外ゲストも利用できる車いすレンタルや送迎事業者を探すのにも苦労した。だが、医療的ケア児の旅の知識に長けた一般社団法人などと連携し、ボランティア団体や旅行会社からアドバイスを受けるなどして受け入れ計画を着実に進め、2023年 9月にプロジェクトを開始、今年5月からは受け入れ体制構築とサービス改善を行った。

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宿泊客の声をヒアリングする関係者の様子

「MIMARUはキッチン付きの広い客室で長期滞在しやすいため、医療的ケア児とその家族の『家族で旅行に行きたい』という思いを叶え、楽しい思い出づくりをお届けできると考えています。また、その活動を広めることで、旅行のきっかけをつくったり、社会的バリアを克服したり、開かれた社会を築くお手伝いをしていきたいです」と早川氏は語る。

コスモスホテルマネジメントは、観光業界全体に取り組みを広げることで、社会にポジティブな影響を与え、サービスをさらに改善していくことを目指している。MIMARUは海外からの利用者も多く、スタッフも多国籍だ。出身国や家族構成、障がいの有無にかかわらず、すべての人を受け入れる。このような心を込めた対応が、国内だけでなく、世界中に広がることを期待したい。

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