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SDGsアワード

「私たちがSDGsプロジェクトを始めた理由」──アワード授賞式レポート

本誌の「SDGsパートナー企業」となった企業は、北は北海道から南は鹿児島県までの、大手メーカー、金融機関、ホテル、化粧品会社、宅配サービス会社、印刷会社や不動産会社など、計63社(下の一覧参照)。老舗企業もスタートアップもある。これらパートナー企業の事例を紹介する記事を、ウェブサイトに77本掲載している。

ニューズウィーク日本版SDGsアワード

パートナー企業にアンケートを取った結果、従業員数500人以下が6割強と、中堅中小企業が比較的多くを占めた。約半数が海外拠点を持ち、SDGsの社内体制に関しては濃淡がある。企業規模も影響しているだろうが、専門部署を持たない回答社が大半で、7割が取り組み開始から10年たっていない(下のグラフ参照)。「わが社はどのように取り組んでいけばいいか」そんな模索が今も各社で続いているとみることもできそうだ。

ニューズウィーク日本版SDGsアワード

授賞式には、パートナー企業の経営者やSDGs担当者ら100人以上が出席した。アワード受賞者の発表(受賞企業はこちらの記事で発表)後、受賞企業5社の代表者と蟹江教授、私が参加したトークセッションも実施し、参考になる国内外の事例から非財務情報の重要性まで、企業から質問が投げかけられた。

続けて設けた立食形式の懇親会では、参加者たちが自発的に活発な交流と意見交換を行う様子が見られた。

ニューズウィーク日本版SDGsアワード

本アワードをきっかけに今後、企業間の協業も生まれるかもしれない PHOTOGRAPH BY HIROSHI ENDO

本アワードの外部審査員を務めた蟹江教授は、国連事務総長に任命された世界の独立科学者15人のうちの1人として、4年に1度の「持続可能な開発に関するグローバルレポート(GSDR)」執筆に携わり、昨年9月に2023年版が公表されている。

授賞式でのスピーチでも述べていたが、SDGsの厳しい達成状況を伝えつつも、「変革を加速させなければならないというのがGSDRのテーマ」だという。「そしてそのためには、事例をもっと積み重ねていく必要がある」

昨年11月に行った本誌インタビュー(記事はこちら:「蟹江憲史教授が国連から任命されて書いた、SDGs『2030年まであと7年』の現実と希望」)でも、蟹江教授はこう語っている。

「例えば電気自動車(EV)は、この5年程度で急速に普及した。ノルウェーでは新車販売台数の20%がEVだったのが、今では80%がEVに置き換わっている......変革は必要であり、そして可能だと考えている」

日本でSDGsの事例をさらに増やし、地球を持続可能にするための歩みを加速させる。そのためにニューズウィーク日本版は、メディアとしてできることを志向し、「SDGsアワード」プロジェクトを立ち上げ、推進してきた。

4月からはプロジェクトの2年目が始動する。ご期待いただきたい。

●2023年度SDGsアワード受賞企業の詳細についてはこちら

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