最新記事
SDGsパートナー

青梅線に続いて久留里線でも! 「沿線まるごとホテル」プロジェクトが贈る「里の一人になる」新しい旅行体験

2025年11月5日(水)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
Satologue

多摩川と青梅線の間の限界集落を一つのホテルにする「沿線まるごとホテル」プロジェクト。その中核施設としてオープンした「Satologue」のロゴイメージ

<無人駅がフロントで、空き家が客室...沿線地域全体を「1つのホテル」に。眠っていた地域資源を新たな価値に転換するプロジェクトがJR青梅線沿線で本格化。第2の沿線として、千葉県でもツーリズムプロジェクトが始動している>

日本企業のたとえ小さな取り組みであっても、メディアが広く伝えていけば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。そのような発信の場をつくることをミッションに、ニューズウィーク日本版が立ち上げた「SDGsアワード」は今年、3年目を迎えました。

私たちは今年も、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇


過疎高齢化による利用者の減少によって、事業運営が困難になっているローカル路線が日本全国で広がっている。今も存廃に揺れる路線が多いなか、鉄道インフラ維持のためにユニークな取り組みを展開しているのが、沿線まるごと株式会社だ。地域の課題をむしろ付加価値に転換するべく、2024年にプロジェクトの中核施設「Satologue(さとローグ)」を、25年には新たに宿泊棟を開業した。土地本来の良さを活かした循環型地域づくりの展望とは──。

「新たに何かを作るのではなく...」地域資源を活かした新しい旅行体験

過疎・高齢化が加速する地方部では、鉄道が廃線になることも珍しくなくなった。存廃について議論されている路線も多い。都内でもJR青梅線、特に青梅駅から奥多摩駅までの区間で乗車人数の減少が目立つ。昭和30年のピーク時には1万5000人以上いた奥多摩町の人口は現在、3分の1以下にまで減っている。

そんななか、過疎地域によく見られる無人駅や空き家などを活用した新しいツーリズム体験を提供しているのが、沿線まるごと株式会社だ。

青梅線沿線地域を一つのホテルに見立て、訪れた人が地域をまるごと楽しめるよう、期間限定のツーリズムをスポット提供するところからスタートし、2024年5月には中核施設として、里をつづるレストラン・サウナ「Satologue」を開業。25年5月に宿泊棟(2名×4室)もオープンし、活況を呈している。26年には、近隣の空き家を改修した4~6名用で一棟貸しできる部屋を開業予定だ。

newsweekjp20251031043142.jpg

築130年の古民家を改修した「Satologue」レストラン棟・宿泊棟の外観

2020年11月に始動した「沿線まるごとホテル」プロジェクトについて、同社取締役の会田均氏は次のように語る。

「点在する地域資源を線路で線にしてつなげ、沿線地域をまるごと1つのホテルに見立てたプロジェクトです。新たに何かを作るのではなく、面(地域全体)としてリブランディングしていくことで東京から新たな地方創生モデルを発信し、交通等のインフラ維持を図りながら持続可能な地域をつくろうと取り組んでいます」

このプロジェクトは元々、JR東日本八王子支社と株式会社さとゆめが連携する形で動き出したものだが、本格的な事業展開にあたって翌21年12月に沿線まるごと株式会社が設立された。

ensenmarugoto_1.jpg

「沿線まるごとホテル」プロジェクトの概念図

プロジェクトの基本構造は、無人駅の駅舎等をホテルのフロントやロビーに見立て、改修した空き家をホテルの客室として利用してもらうというもの。新たな設備投資は最小限に抑えられ、空き家の有効利用にもなる。

実際、Satologueは築130年の空き家となっていた古民家を改修し、かつて林業で栄えた東京奥多摩の森や水、生態系、食、文化などを表現した施設となっている。無人駅を訪れたり、古民家に滞在したりすることは、旅行者にとっても有名観光地では味わえない新鮮な体験を得られるという意味で魅力的だ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米ウクライナ首脳、日本時間29日未明に会談 和平巡

ワールド

訂正-カナダ首相、対ウクライナ25億加ドル追加支援

ワールド

ナイジェリア空爆、クリスマスの実行指示とトランプ氏

ビジネス

中国工業部門利益、1年ぶり大幅減 11月13.1%
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 7
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 8
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 9
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 10
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中