最新記事
秋雨

「秋雨が降ると気分が落ち込むのはなぜ?」医師が教える季節メンタルの整え方

2025年10月31日(金)18時01分
池井佑丞(産業医)*PRESIDENT Onlineからの転載

魚、大豆製品、乳製品を意識的に摂る

2.昼休みや帰宅時にウォーキングなど軽い有酸素運動を取り入れる

ジョギングやウォーキング、サイクリングといった有酸素運動は、セロトニンやドーパミンの働きを高め、ストレス耐性を向上させる効果が報告されています(Alizadeh, 2024)。週に数回、20〜30分程度の運動でも有効です。


3.夜更かしを避け、7時間程度の睡眠を確保する

睡眠不足は自律神経を乱すだけでなく、感情をコントロールする脳領域(前頭前野や扁桃体)に悪影響を与えることが知られています(Frau et al., 2020)。なるべく夜更かしや不規則な生活は避け、7時間前後の睡眠を心がけましょう。

4.トリプトファンを含む食品を意識して摂取する

栄養面では、セロトニンのもととなる「トリプトファン」を含む魚、大豆製品、乳製品を意識的に摂るとよいでしょう(Kikuchi et al., 2021)。

さらに、気圧変化による体調の揺らぎを自覚したら、業務負荷や予定を調整し無理をしないことも重要です。

こうした小さな工夫の積み重ねが、秋の不調を未然に防ぐことにつながります。

ただし、気分の落ち込みや不眠などが数週間以上続く場合や、日常生活に支障をきたすほど強い症状がある場合には、早めに医療機関に相談することも大切です。

不調を「気のせい」として片付けてはいけない

秋は過ごしやすい季節である一方、日照時間の減少や気圧の変動により心身が揺らぎやすい時期でもあります。セロトニン活性の低下や自律神経の乱れは気分の落ち込みや集中力の低下につながり、時に季節性うつ病(SAD)にまで発展することがあります。

大切なのは、そうした不調を「気のせい」と片づけないことです。環境要因による自然な反応であり、誰にでも起こり得る現象だからです。だからこそ、朝の光を浴びる、運動する、規則正しい睡眠を取る、栄養を意識するなど小さな工夫が有効です。

健康を守ることは、ビジネスパーソンが成果を出し続けるための基盤です。季節の変わり目を上手に乗り越えることが、仕事と生活の双方を充実させる第一歩になります。


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
presidentonline.jpg



ニューズウィーク日本版 教養としてのBL入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月23日号(12月16日発売)は「教養としてのBL入門」特集。実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気の歴史と背景をひもとく/日米「男同士の愛」比較/権力と戦う中華BL/まずは入門10作品

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米16州、EV充電施設の助成金停止で連邦政府を提訴

ワールド

中国最新空母「福建」、台湾海峡を初めて通過=台湾国

ワールド

ウクライナ安全保証、西側部隊のロシア軍撃退あり得る

ビジネス

半導体製造装置販売、AIブームで来年9%増 業界団
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 7
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中