夏の屋台の「定番メニュー」で500人が食中毒...付着していた危険な菌の正体とは?〈注目記事〉
生で食べる野菜は流水で丁寧に洗うこと
「加熱せず食べる野菜は、流水で丁寧に洗うことがポイントです。また水菜は、冬であれば鍋に入れることで加熱できますが、暑い時期は難しいですよね。それでも麺類に入れるなら一緒にゆでたり、熱湯にさらしたり、あるいは少しレンジにかけて加熱するといいでしょう。グラフではサニーレタスも菌数が多くなっていますね。これもお湯洗いをしてください」(望月氏)
こういった方法で完全防止はできなくても、少し加熱することで死ぬ菌もいるから、菌を「増やさない」ことにつながる。
また、キュウリのイボイボを丁寧に洗ったり、ミニトマトは雑菌が繁殖するヘタを取ってから水道水で洗うことも効果がある。
夏祭りの冷やしキュウリで約500人が食中毒
しかし、夏にお祭りなどのように屋外で加熱せずに食材を提供される場所では、より一層気をつけなければならない。
静岡県の花火大会で2014年、露店で販売された冷やしキュウリを食した約500人が食中毒を発症した。原因は腸管出血性大腸菌O157。報道では、キュウリの洗浄と調理販売者の手洗いが不十分だった可能性が指摘されている。日本臨床栄養協会評議員で管理栄養士の遠藤惠子氏がこう説明する。
「給食など生食の野菜は、殺菌処理をしてから提供する場合がほとんどです。けれども、お祭りなどでは殺菌処理がされないことも少なくなく、菌が繁殖しやすいのです。セレウス菌、大腸菌以外にも、手に傷があったり手荒れをしたりしていると、黄色ブドウ球菌という食中毒原因菌が多く潜んでいる可能性が高いです。
黄色ブドウ球菌が食品中に繁殖すると、熱に強い毒素を作り、吐き気や下痢などの食中毒を起こしてしまいます。ですから、おにぎりを作るときはラップで、サンドイッチは手袋をして作りましょう」
黄色ブドウ球菌は健康な人、普通の手でも20~30%が保菌しているといわれる。特に傷があるときには手袋をして調理をし、おにぎりやサンドイッチを作るときは、健康な人でも素手で触らないことが大切だ。
「またおにぎりの具材は抗菌作用のある梅干しや、塩分が多めの鮭、昆布、もしくは塩むすびがいいと思います。また海苔を巻くと熱でふやけて菌の発生源となるので、食べる直前に巻くといいでしょう」(遠藤氏)
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