最新記事
メンタル

幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ

2025年7月24日(木)18時31分
有田秀穂(医師・脳生理学者、東邦大学医学部名誉教授)*PRESIDENT Onlineからの転載

夏は短め、冬は長めが日光浴のコツ

ただし、注意しなければならないポイントがあります。太陽光の代用として発明された電灯の光は、視覚機能には有用ですが、「セロ活」には役に立たないという事実です。

理由は、照度が足りないからです。これまでの医学研究では、2500〜3000ルクス以上の照度が「セロ活」には必要だということが明らかになっています。通常の電灯の照度は500ルクス以下なので、「セロ活」には役に立ちません。そこで、照度計を使っていろいろな場所や状況を調べて見ると、「セロ活」に有効な条件が見えてきます。

太陽が出ていれば、1万〜10万ルクスの照度があり、「セロ活」にはまったく問題ありません。むしろ、浴び過ぎが問題になるほどです。30分浴びれば、十分に「セロ活」になりますが、夏は短め、冬は長めに浴びるのがよいでしょう。

そして太陽光を浴びて疲れを感じるようなら、脳内のセロトニン分泌が逆に減り始めたと考えたほうがよいと思います。疲れは、セロトニン分泌が減少すると感じてくるもの。これも、セロトニン神経の重要な特性なのです。


時間は「朝」がベストタイミング


・皮膚に太陽光を浴びるのは「セロ活」にはなりません。太陽光の刺激は目の網膜を介して、セロトニン神経を活性化させるものだからです。日焼け止め対策のUVカットや長袖、日傘や帽子は「セロ活」には影響を与えません。ただし、サングラスは目の網膜に光が十分に届かなくなるので、「セロ活」の観点からはNGです。

・日中、部屋の中にいるときは、カーテンやブラインドを開けておきましょう。窓際なら3000ルクス程度の照度があるので、基本的に「セロ活」になります。たとえ太陽が出ていても、部屋の奥で生活していたら、太陽の恵みは受けていないと思ったほうがよいでしょう。

・「セロ活」として太陽光を浴びる時間帯は、朝、起きてすぐがベストタイミング。なぜなら、夜寝ているときには脳内でセロトニン分泌が起こっていないので、1日の生活がスタートする朝に、太陽光を浴びて「セロ活」をすることが効果的なのです。

これでスムーズに1日の生活がスタートできます。

日光浴で脳内にセロトニンが分泌し始めると、こんな効果が生まれます。


・すっきりとした覚醒

・心が明るくポジティブに切り替わる

・体も動く状態にシフトする

具体的な生活習慣としては、太陽光を浴びながらさまざまな運動(ウオーキングなど)を組み合わせるとよいでしょう。もちろん、ベランダや庭で日光浴をするだけでも十分、「セロ活」になります。

newsweekjp20250722062410.jpg

出典=『スマホ中毒からの心のモヤモヤをなくす小さな習慣』(プレジデント社)


newsweekjp20250722062447.jpg有田秀穂『スマホ中毒からの心のモヤモヤをなくす小さな習慣』(プレジデント社)(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
presidentonline.jpg

ニューズウィーク日本版 山に挑む
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月29日号(7月23日発売)は「山に挑む」特集。心と身体に健康をもたらすクライミングが世界的に大ブーム [PLUS]世界トレッキング名峰5選

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

赤沢氏、日本が失うのは「数百億円の下の方」 対米投

ワールド

上海でAI会議開幕、中国の李首相は世界的な協力組織

ビジネス

NASA、職員の20%が退職へ=広報

ワールド

タイとカンボジアの衝突3日目に、互いに停戦と交渉開
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:山に挑む
特集:山に挑む
2025年7月29日号(7/23発売)

野外のロッククライミングから屋内のボルダリングまで、心と身体に健康をもたらすクライミングが世界的に大ブーム

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や流域住民への影響は?下流国との外交問題必至
  • 2
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 3
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心中」してしまうのか
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 7
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 8
    レタスの葉に「密集した無数の球体」が...「いつもの…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「電力消費量」が多い国はどこ?
  • 10
    機密だらけ...イラン攻撃で注目、米軍「B-2ステルス…
  • 1
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 2
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心中」してしまうのか
  • 3
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や流域住民への影響は?下流国との外交問題必至
  • 4
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 5
    「カロリーを減らせば痩せる」は間違いだった...減量…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    レタスの葉に「密集した無数の球体」が...「いつもの…
  • 8
    「マシンに甘えた筋肉は使えない」...背中の筋肉細胞…
  • 9
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 10
    参院選が引き起こした3つの重たい事実
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 6
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 7
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 10
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中