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健康寿命を延ばすには「つながり」が不可欠だった...最新研究が示す『つながる技術』とは?

2025年5月30日(金)09時15分
キャスリー・キラム(つながりの健康研究所[Social Health Labs]主宰)

同じように、2023年に『ネイチャー・ヒューマン・ビヘイビア』に発表された系統的レビューとメタ分析の研究が18歳以上の人220万人超の健康状態を調査したところ、孤立したり孤独を感じていたりする人は、全死因死亡率(原因を問わない死亡率)のリスクがそうでない人より高いことがわかりました(*3)。

実際、研究者たちの計算によれば、他の死亡因子と比べても、親しい人間関係の欠如は常習的な喫煙、過度の飲酒、運動不足や肥満、大気汚染への曝露に匹敵します(*4)。

ネットフリックスで配信中のドキュメンタリーシリーズ『100まで生きる:ブルーゾーンと健康長寿の秘訣』を観た人なら、驚かないかもしれません。


 

ギリシャのイカリア島、コスタリカのニコヤ、日本の沖縄など、100歳を超える長寿の人が世界一多いコミュニティでは、人々は家族を何よりも大切にし、日常的に支えてくれる人づきあいの輪に囲まれています。長生きするためには、豊かな人間関係を育むことが必要不可欠なのです。

つながりの健康と長寿の因果関係

社会科学者であるからには、人とのつながりが豊かな人が長生きだと述べるだけでは不十分であると私も承知しています。人とのつながりが多いほど長寿につながるという因果関係の証明が必要です。

これに取り組んだのが、英国の研究者たちです。とはいえ、1つの集団に社会的な絆を断ち切らせ、もう1つの集団の人間関係が豊かになるよう手配し、それぞれどうなるかを比較するなどということはまず不可能だし、倫理的にも問題がありすぎます。

喫煙と肺がんの因果関係の研究と同じで、健康に関する因果関係を検証するなら一般的なガイドラインに従って入手できるエビデンスを使わなければなりません。その場合、たとえば関係性の強度と一貫性を評価し、可能性がありそうな他の説明を排除していくといった手続きをとることになります。

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