最新記事
脂肪肝

脂肪肝を進める意外な落とし穴...医師が語る「お酒より危険な飲み物」とは?

2025年5月22日(木)14時51分
栗原 毅(栗原クリニック東京・日本橋医院長)*東洋経済オンラインからの転載

なぜ「甘い飲み物」が肝臓によくないのか。そもそも、脂肪肝を進ませてしまう最大の原因は糖質の過剰摂取です。糖質の摂りすぎで体内に糖があり余っていると、それらが中性脂肪に変換されて肝臓に蓄積していくのです。

また、糖の中でもとりわけ肝臓に大きなダメージを与えるのが「果糖」です。果糖には肝臓のみで代謝されるという特徴があり、普段から果糖の多い食べ物や飲み物を摂りすぎていると肝臓に負担がかかり、てきめんに脂肪肝が進んでしまうことになります。


そして、甘い飲み物には「果糖ブドウ糖液糖」というかたちで果糖が含まれていることが多いのです。果糖ブドウ糖液糖は、トウモロコシなどから人工的に甘み成分を抽出した液体シロップで、果糖の割合が50%以上、90%未満のものを指します。

しかも、この果糖ブドウ糖液糖入りの甘い飲み物がよくないのは、大量の果糖が一気に体内に入ってしまう点にあります。

たとえば、ミカン1、2個を剥いて食べたときの果糖摂取量はそうたいしたことがないのですが、オレンジジュースなどの甘い飲み物をゴクゴクッと飲んだ場合、(果物を剥いて食べたときとは)比べ物にならないほどの大量の果糖がどっとなだれ込んでくるのです。

ですから、果糖ブドウ糖液糖が加えられた甘い飲み物を日々野放図に飲んでいると、脂肪がどんどんたまって、脂肪肝や肥満が加速していく悪化の流れを止められなくなってしまいます。もちろん肝機能もじわじわと悪化して、(ときとしてアルコールの弊害なんか小さく思えるほどの)甚大なダメージを肝臓に与えることになっていくわけです。

 “体によさそうな飲み物” にも要注意

そこでみなさん、普段の生活を振り返ってみてください。みなさんは日々何の警戒感もなく、習慣的に甘い飲み物を飲んではいませんか?

コーラやサイダーなどの甘い清涼飲料水はもちろん、一見体の健康によさそうな飲み物や、いつも冷蔵庫に入っているような身近な飲み物にもかなりの量の果糖ブドウ糖液糖が含まれています。

みなさんは、そういった飲み物を日常的に口にすることで、知らず知らず脂肪肝や肥満を進ませてしまってはいないでしょうか。自分でも気づかないうちに肝臓をボロボロにしてしまってはいないでしょうか。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

独経済、今四半期も停滞 米関税で輸出低迷=連銀月報

ビジネス

EU、米国産ロブスターの関税免除延長を検討=FT

ワールド

米下院、大統領の大型減税法案可決し上院へ 懸念され

ワールド

日米協議で23-25日にワシントン訪問、米側閣僚は
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:関税の歴史学
特集:関税の歴史学
2025年5月27日号(5/20発売)

アメリカ史が語る「関税と恐慌」の連鎖反応。歴史の教訓にトランプと世界が学ぶとき

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドローン母船」の残念な欠点
  • 2
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界の生産量の70%以上を占める国はどこ?
  • 3
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 4
    人間に近い汎用人工知能(AGI)で中国は米国を既に抜…
  • 5
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 6
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 8
    子育て世帯の年収平均値は、地域によってここまで違う
  • 9
    米国債デフォルトに怯えるトランプ......日本は交渉…
  • 10
    【クイズ】世界で2番目に「自動車の生産台数」が多い…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドローン母船」の残念な欠点
  • 4
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」…
  • 5
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 6
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 8
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 9
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 10
    人間に近い汎用人工知能(AGI)で中国は米国を既に抜…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中