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セラピストとAIどっちが良い? チャットGPTに悩みを相談する人が急増中...メリットと意外な「落とし穴」

The Chatbot Will See You Now

2025年2月20日(木)14時16分
カリーン・ハーブ

セラピストと話す人

セラピーに人とのつながりを求める人も多い MIXETTO/ISTOCK

米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のベン・レビンスティン准教授(哲学)もAIは心理療法を大きく変えるとみているが、慎重な導入が求められると警告する。

「人間的なつながりを求めてセラピストを選ぶ人もいるだろうが、AIのほうがアクセスしやすいし、相手がどう思うか気にせずに、人に言えないような悩みを打ち明けられる。AIがいいと思う人もいるだろう」と、彼は話す。


メンタルヘルス分野でのAI活用は多様な展開を見せるだろうと、レビンスティンは予測する。

「ハイブリッド方式もあり得る。ケアを中心的に担うのは人間のセラピストだが、最初の問診や次回のセッションまでの『つなぎのサポート』をAIに任せるクリニックもあるだろう。人間の心理を理解する能力や治療計画を立てる能力がますます高度化するにつれて、完全にAI主導になるサービスも出てくると考えられる。とりわけ複雑な診断や投薬管理に関して人間の能力を上回る可能性は高く、AIが精神科医療の主要な提供者になり得る」

ただし、AIセラピーの台頭には深刻な懸念もあると、レビンスティンは指摘する。「その1つが『セラピスト・ショッピング』だ。患者が、厳しくてもその人に必要な治療を行うセラピストではなく、自分の見解をただ肯定してくれるセラピストを探し回る」

レビンスティンによれば、これは既に人間のセラピストでも起きている問題だ。AIなら自分の聞きたいことを言ってくれるモデルが見つかるまで次々と簡単にモデルを切り替えることもできるため、いっそう深刻になりかねない。

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