最新記事
メンタルヘルス

セラピストとAIどっちが良い? チャットGPTに悩みを相談する人が急増中...メリットと意外な「落とし穴」

The Chatbot Will See You Now

2025年2月20日(木)14時16分
カリーン・ハーブ

もう1つの懸念は、AIシステムが自殺願望や、(虐待の兆候など)当局への報告義務を伴う状況にどう対処するかについて。レビンスティンは、これには複雑な倫理的および法的問題があるとし、こう続けた。

「これらの課題はAIがメンタルヘルスケアに革命をもたらすことを妨げるものではないが、この分野が進化するにつれて慎重に対処する必要がある」


即応性がもたらす錯覚

トロント・メトロポリタン大学(カナダ)のリチャード・ラックマン准教授は、感情的に弱い人々はAIに依存することで傷つきかねないと話す。

「AIチャットボットは、人間のカウンセラーや、専門性の高いテスト済みのソフトウエアによる監督、トレーニング、責任を一切伴わずに、質問されればセラピストのように応答する。こうした即応性は、大規模言語モデル(LLM)と、会話型インターフェースの本質の双方において大きな弱点だ。口達者で相手に気に入られようとする会話が、強化学習と人間の反応によって微調整を重ね、理解力があって有能だと錯覚させる」。ラックマンはそう指摘し、警鐘を鳴らした。

「資格を持ち責任の所在が明らかで、倫理的に対処する人間のセラピスト育成に長期的に取り組むより、アクセスが容易でコストが劇的に安いAIチャットボットに資金を投じる組織が増えるかもしれない。こうしたことは、経済力や自己表現力が乏しい若者や社会的弱者に影響を与えやすい」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任し国連大使に指

ワールド

米との鉱物協定「真に対等」、ウクライナ早期批准=ゼ

ワールド

インド外相「カシミール襲撃犯に裁きを」、米国務長官

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官を国連大使に指名
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中