最新記事

ヘルス

「ジョギングで痩せる」は非効率すぎる...... 米特殊作戦部隊が採用した「最強の筋トレ」の中身とは

2022年10月10日(月)11時40分
マーク・ローレン(米軍特殊作戦トレーニングスペシャリスト) ジョシュア・クラーク(認定パーソナルトレーナー) *PRESIDENT Onlineからの転載

平均的な男性は、安静にしている45分間に105カロリーを消費するので、エクササイズによって実際に消費されるカロリーはわずか195カロリーしかないということになる。

195カロリーは、45分間のトレーニング後に30秒間で食べるベーグルよりもはるかに少ないカロリー量だ。有酸素運動がもたらす食欲が、実際に消費したカロリーを超えたカロリー摂取につながることもわかっている。

世界中のジムで、今日も、たくさんの人が「有酸素運動」をやって汗を流しているだろう。しかし、外見的に思い通りになっていかない理由はここにある。

もし、私たちの代謝機能がマシンメーカーが宣伝しているような「体重60キログラムの女性が目標とする有酸素運動の心拍域で15時間運動すれば約500グラムの脂肪が燃焼する」といった速度でカロリーを消費するようなものであれば、人類は氷河期を生き延びてはいない。

ウーリーマンモスを探している間にカロリーが枯渇し、狩ることができずに餓死することになるからだ。

現代生活に置き換えると、スーパーへ買い物に行くために消費するカロリーだけで息絶え絶えになるはずだ。スーパーへ向かう途中の道にはたくさんの人が倒れているだろう。

有酸素運動には、さらに悪いニュースがある。ランニング、サイクリング、ステップクラスのいずれであっても、トレーニングすればするほど楽になるのは、心肺機能が向上するからではない。

作業効率がアップするからだ。ほとんどの場合、筋肉に持久力がつくから楽になるのではなく、その特定の動作に対して体がより効率的に動くようになるからだ。

筋肉が加齢による代謝への悪影響を阻止する

また、有酸素運動を習慣化すると、実際には筋肉が萎縮していく。長期にわたって低強度の有酸素運動を続けると、そのために使う小さくて弱い「遅筋」の筋繊維だけを何度も発火させることになる。

有酸素運動をやるときに、強くて大きな「速筋」の筋繊維はあまり必要とされない。逆に、酸素を運んだり供給したりする上での負担になり、必要以上の筋肉は邪魔なものになる。そのため、筋肉を燃やすことで繰り返し要求されるその低強度の動作に適応していく。

定常状態トレーニングに筋力トレーニングを組み合わせても、特に、脚における除脂肪体重を増やす可能性は低くなる。筋肉を増やしたいなら、有酸素運動は、5キロランやトライアスロンなどをやる人が、動作の習熟度を上げる場合に限ってやるものだと私は思う。

加齢にともなって、特に30代から多くの人の体重が増え始める理由は、10代後半から20代前半の頃に比べて筋肉量が減ることが原因になっている。年を取るにつれて活動量が減っていくと、体は自然に筋肉を失っていく。この筋量の減少にともなって代謝率も低下していく。

そして、若い頃と同じような食生活を続けていると、月ごと、年ごとにゆっくりと体重が増えていき、ある日、鏡を見て「何が起こったんだ?」と驚くことになる。

貯め込んだ体脂肪を解消するカギは、筋力トレーニングをやって筋肉をつけ、若々しい代謝を取り戻すことにある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ノボノルディスク、不可欠でない職種で採用凍結 競争

ワールド

ウクライナ南部ガス施設に攻撃、冬に向けロシアがエネ

ワールド

習主席、チベット訪問 就任後2度目 記念行事出席へ

ワールド

パレスチナ国家承認、米国民の過半数が支持=ロイター
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 3
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家のプールを占拠する「巨大な黒いシルエット」にネット戦慄
  • 4
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 7
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 8
    【クイズ】沖縄にも生息、人を襲うことも...「最恐の…
  • 9
    習近平「失脚説」は本当なのか?──「2つのテスト」で…
  • 10
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 4
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 7
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中