最新記事

教育

親が子どもの自己肯定感を下げてしまう「5つの言葉」 成績悪化につながることも

2022年10月2日(日)11時11分
石田勝紀(教育デザインラボ代表理事、教育評論家) *東洋経済オンラインからの転載

似たような発言に、「90点取れてよかったね。あと10点惜しかった」「もう少し頑張れば100点だったね」がありますが、表現はやさしいものの、実態としては、現在を肯定していないため、自己肯定感を下げることに変わりはありません。

例えば、料理をしているママにパパが、「今日の料理、ほとんど美味しかったけど、味噌汁が残念。これが美味しかったら満点だ」と言われたらどうでしょう。嬉しいでしょうか。おそらく心が凹むか怒りの感情が出てくることでしょう。

(2)こんなこともできないの?

この言葉だけを聞くと、とてもきついので、「え? 私そんなきつい言葉子どもに言わないけど」と思う人もいるかもしれませんね。しかし、一般的に子どもは大人ができることはできないことが少なくありません。すると親御さんは、イライラしているときに、子どもができないことがあると、「こんなこともできないの?」と無意識に言葉にしてしまうことがあります。

また、一番多くこの言葉が出てくる場面は、他者と比較をするときです。同年齢の子どもが何かできている話を見聞きすると、つい悔しくなり「あなたもできるはずでしょ!」「なんでできないの!」とこぼしたりしていないでしょうか。

このような言葉を使われ続けると、自分は"誰でもできることができない人間"だと思ってしまう可能性があるため、避けたい言葉です。

(3)また同じミスをしたの?

子どもが学校の算数のテストで何度も計算問題でケアレスミスをしてきたとします。そのとき、子どもに何と言いますか?

「また計算ミスしているじゃない」

過去の保護者面談で、この言葉を使う人が予想以上に多いことが確認できました。では、この言葉を言われ続けた子どもはどう感じるでしょうか。

「何度も間違える自分はダメな人間だと思う」か「自分の評価を下げる勉強そのものから離れたい」のいずれかの気持ちをもつのではないでしょうか。

前者は自己肯定感を引き下げ、後者は自己肯定感を下げたくないため勉強そのものを放棄するという結果になります。

(4)何回言ったらわかるの?

何回も言わないとわからないということは、教え方が適切ではないか、まだ十分に理解できる年齢になっていないことがほとんどです。ですから、何度言ってもわからないときは、「何度も教える」が回答になります。

しかし、この教えるという言葉が問題で、教えるのではなく、怒っているだけの人が少なくないのです。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

名門ケネディ家の多数がバイデン氏支持表明へ、無所属

ビジネス

中国人民銀には追加策の余地、弱い信用需要に対処必要

ビジネス

テスラ、ドイツで派遣社員300人の契約終了 再雇用

ビジネス

円債残高を積み増し、ヘッジ外債は縮小継続へ=太陽生
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 3

    【画像】【動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲深くも「勇ましい」空軍のサルマ王女

  • 4

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 5

    パリ五輪は、オリンピックの歴史上最悪の悲劇「1972…

  • 6

    人類史上最速の人口減少国・韓国...状況を好転させる…

  • 7

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 8

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    アメリカ製ドローンはウクライナで役に立たなかった

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    温泉じゃなく銭湯! 外国人も魅了する銭湯という日本…

  • 10

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中