最新記事

育児

父親の育休取得9割のスウェーデンに学ぶ「イクメン」ライフスタイルとは?

2020年3月24日(火)11時00分

luza studios - iStockphoto

<社会保障制度の先進国であるスウェーデン。なかでもよく取り上げられるのが、現在では9割を超えるといわれている男性の育児休暇取得率の高さだ。そんな「イクメン」先進国から日本人男性は何を学ぶべきか──>

今年1月15日、小泉進次郎環境大臣が第一子の誕生に合わせて、通算2週間の育児休暇(以下、育休)の取得を表明した。さらに同月24日には立憲民主党の若手男性議員らが国と地方で育休を取得することを発表。「男性議員の育休調査実践プログラム」として実践し、今後の政策立案に生かすという。日本ではこうした育休連鎖は大きな反響を呼び起こしたが、北欧のスウェーデンでは以前から男性が90日の育休を当たり前のように取得している。

スウェーデンではパートナーの男性と女性が、合計で通算480日の育休を取得することができる。このうち相手に譲ることのできない日数が90日あり、利用しなければ消滅してしまうため、この制度のおかげで男性の育休取得率が増加したともいわれている。

また、480日のうち390日は給与の80%が保証され、残りの90日は定額給付というのも日本と大きく違うところだ。こうした経済的な保証があるおかげで、スウェーデンの育休取得率は男性8割弱、女性8割強(2004年データ)となっている。ちなみに日本は2018年になって女性こそ8割強となっているが、男性の育休取得率は1割未満(6.16%)だ。

男女平等のもとで成り立っているスウェーデンの育休制度

スウェーデンの育休取得率が高いのは、育休制度が整っているからだけではない。両親を対象とした育休制度が1974年に導入されると、親の労働時間と子どもの保育時間が議論の要となった。幼い子どものいる親が1日 8 時間働くのは適切かという問題意識から、労働時間短縮制度をはじめとする労働環境の整備と、子どもに平等に幼児教育を施す場としての公的保育の重要性が唱えられた。

その結果、育休の分割取得や子どもが病気になったときに会社を休むことができる看護休暇(VAB)、第1子出産後 30 カ月 以内に第2子を出産した場合に第2子の育児休業中の給付金が第1子の際と同額になるスピード・プレミアム制度、子どもが8歳になるまで労働時間を75%まで短縮できる短時間勤務制度などが生まれた。同時に、男女平等の制度も整理が進み、2019年の世界経済フォーラムによるジェンダー・ギャップ指数では第4位にランキングされている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

英中銀ピル氏、QEの国債保有「非常に低い水準」まで

ワールド

クラウドフレアで障害、数千人に影響 チャットGPT

ワールド

イスラエル首相、ガザからのハマス排除を呼びかけ 国

ビジネス

ユーロ圏銀行、資金調達の市場依存が危機時にリスク=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 10
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中