最新記事

日本社会

人生切り売りする生き方、辞めませんか? 40代独身男性、生活費8000円の田舎暮らしのススメ

2020年1月17日(金)19時30分
池滝 和秀(ジャーナリスト、中東料理研究家) *東洋経済オンラインからの転載

最も大きな支出の1つは、インターネット通販で購入する10キロ3000円のコメ。自宅の評価額が低いため、固定資産税は年間数千円。水道代は数百円。電気は冷蔵庫を動かした夏場には2000円を超えたが、今はコンセントを抜いており、11月分は数百円。

携帯電話は、簡易型のソーラーパネルで晴れの日を狙って充電し、夜間の照明代を抑えるためにLEDライトを購入した。携帯電話は格安シムを買い、動画共有サイトYouTubeなどを楽しむ際は画質を落とす。両親と長く話したりしない限り、通信費は千数百円で済んでいる。

次は生活費1カ月5000円が目標

生活費の中で大きなウェートを占めるのは、コーヒー代とアルコールだ。「こればかりは楽しみでもあり、やめられないし、やめるつもりもない」という。今は田舎生活に必要なくわなどの農機具を買うための支出で生活費が1万円を超えることもある。

ただ、「目標だった1万円は割と簡単に達成できたので、次は経費節減がどこまで進められるのか。5000円が次の目標になる。こんな暮らしをどこまで続けられるのかというのも興味がある」と笑顔を見せる。コメ作りのための畑や田んぼを購入しようとしているが、農地法の規制もあり、なかなか進みそうにないのが悩みの種だ。

男性は暖房も使用しておらず、調理の際にはキャンプ用のコンロで、枝や木片で火を起こす。ガスや石油は使っていない。ときには、囲炉裏に火を入れて暖を取ることもある。物に囲まれた快適な生活に慣れた筆者から見たら、決して楽とは思えないような生活だが、男性は「都会とあまり変わらない。必要なものがあれば、インターネット通販で自宅まで届けてくれるし、ネットで最新の情報も入手できる」と屈託がない。

こうした倹約生活は、集落に移り住んだ4月以降、ごみを出したことがないという生活につながっている。嗜好品のアルコールを飲む際には、ペットボトルや缶入りは買わず、紙パックのものを購入して、ごみとして出たパックは、料理の際の焚き付けとして燃やしてしまう。

みそなどの調味料も自宅で造っているため、無駄なごみは出ない。アルミホイルなどごくわずかにごみは出る。だが、移り住んで8カ月になる12月の段階で、買い物袋の約半分を満たす程度。「1年に1回はごみ出しすることになりそうだ」という。

こんな暮らしを続ける男性も、ある程度のお金を支出せざるをえないときがある。両親が来た際には、レンタカーを借りて近くの駅に迎えに行ったり、周辺を観光したりした。大きな額ではないが、ある程度の貯蓄があるため、今は働かなくてもいいと感じている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

高市首相、応援演説で円安メリットに言及 米関税のバ

ワールド

米政府機関の一部が閉鎖、短期間の公算 予算案の下院

ビジネス

中国1月製造業PMIが50割れ、非製造業は22年1

ワールド

トランプ氏、労働統計局長にベテランエコノミスト指名
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 2
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵士供給に悩むロシアが行う「外道行為」の実態
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 5
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパ…
  • 6
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 7
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 8
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中