ハワイゆかりの人々がハワイ語で語るハワイ王国の歴史劇...ドラマが描き出す「いま語られるべき歴史」とは?
Defending Traditions
本作におけるカイアナは時代の急激な変化に直面し、民族の伝統と自らの野心の間で揺れ動く人間として描かれている。
勇猛な戦士として活躍した後、何年も海外で過ごして帰国したカイアナはいがみ合う族長たちや植民地主義勢力との戦いに巻き込まれるが、一方で自分自身の内なる闘いも抱えている。
ドラマはカイアナの遍歴を中心に展開するが、背景にはカメハメハ大王によるハワイ、マウイ、オアフ、カウアイ各島の統一がある。それは太平洋の島々、つまりポリネシアに生きる人々の運命を永遠に変えることになる途方もない大事業だった。
土と海のエネルギー
カイナ・マクア(Kaina Makua)演じるカメハメハ大王の偉業は、単なる軍事的な征服ではない。『チーフ・オブ・ウォー』が重視するのも、欧米のメディアでは見過ごされがちな歴史の一章だ。
植民地時代以前のハワイにあった風習や階層構造、信仰を深く掘り下げ、女性やスピリチュアルな指導者の役割、さらには土地と海の聖なる結び付きも強調されている。
マウイ島の狡猾なカヘキリ王を演じるテムエラ・モリソン(Temuera Morrison)によれば、この物語に命を吹き込むには技術以上に深いものに触れる必要があった。
「私の演技には雷と稲妻が必要だった」とモリソンは言う。「ポリネシアの人が内なるパワーと呼ぶものを少しでも表現したかった。幸いにして私たちは(ニュージーランドの先住民)マオリのハカを学んでいる。ハカの『ハ』は呼吸、『カ』は炎だ。この物語にはそれがたくさん必要だった」