狂気の時代を撃つ声──パブリック・エナミーの新曲「マーチ・マッドネス」が問うもの
It’s Time We Banned Firearms

サムとマネジャーは、俺にこれまでやったことのない一歩を踏み出させた。パブリック・エナミーと俺、フレイバー・フレイブのメッセージをもっと広い層に届けたいなら、まず相手を対話の輪に招き入れ、その視点を理解すべきだと気付かされた。
マネジャーは以前、NFL(全米プロフットボールリーグ)のデトロイト・ライオンズでランニングバックだったバリー・サンダースの代理人をやっていた。バリーの息子ナイジェル・サンジャイ・サンダースはハワード大学出身で、音楽の才能がとんでもない。彼には新曲の制作に加わってもらうことにした。
マネジャーはハーバード大学出身だ。彼女の人脈を使って、俺とサムとナイジェルはハーバードの学生たちや、この大学のヒップホップ研究所にいたラッパーのDee-1とミーティングをした。それから近くのバークリー音楽院に行き、そこの学生たちと一緒に曲を作って録音した。
そのとき俺はただ黙って座っていた。普段の俺からは考えられない。でも彼らの声や考え、その背景を理解するには、黙って聴くしかなかった。学生たちの知性と視点、そしてパブリック・エナミーとストリートの経験が組み合わされば、とんでもない力になる。
友人であるアーティストのシェパード・フェアリーは、(2008年米大統領選でバラク・オバマ候補のポスターに添えた)「HOPE(希望)」のひとことで人々の心を動かした。それと同じものを、俺はあの学生たちに見た。





