「テニスが全てだった」実力派女子選手の人生を変えた「出産」経験...彼女が見据える未来とは
Winning Mentality
当時は勝つか負けるかで評価が決まるプロスポーツの世界に「すっかりのみ込まれていた」が、産前産後にツアーを離れたおかげで「自分自身を取り戻せた」。だから今は「前よりずっと強くなった気がする」し、「人間として成長した」と感じてもいる。
この変化には、優先順位を変えるだけでなく、少しの間テニスから離れることを理解し、多くを受け入れることが必要だった。
試合で旅に出ているときも家にいるときも、タウンゼントは「母親としての罪悪感」を感じていたという。
「トレーニングがあって、ジムにも行かなきゃならない。だから息子の面倒を見てくれる人を雇っていた。それでも時間が足りないと感じて、家にいても息子と一緒にいるという実感がなかった」
そのことに気付いてから、彼女は息子と過ごす時間を「量から質へ」とシフトした。
今のアディンは、母親が仕事のために頻繁に留守にしなければならないことを理解しており、彼女が出かける前には「トロフィーを必ず持ってきてね」と言うそうだ。
昨年のウィンブルドンで優勝したとき、タウンゼントは祝勝パーティーを開いた。友人や家族を招いて勝利を祝い、息子も一緒に深夜まで起きていた。「息子にとってはとても大切な思い出となった。だから、彼は毎回トロフィーを欲しがるの」
このパーティーは単なるお祝いではない、とタウンゼントは言う。それは「私にとって、自分が達成したことを認めることだった。それまでは、ただやり遂げて、次に進むという感じだったから。ちょっと立ち止まって、私が大切に思っている愛する人たちとその瞬間を共有する」ための方法だった。